重量約2kg! 早稲田の居酒屋『源兵衛』でデカ盛りすぎる「オムライス」を食べてきた

幅30cmの皿いっぱいに盛られた巨大オムライス登場!

「オムライス」大盛1800円(スープ付き)。サービス品なので1グループにつき注文は1つまで
「オムライス」大盛1800円(スープ付き)。サービス品なので1グループにつき注文は1つまで

 料理を待つ間、女将さんと世間話。お店の看板メニューは、焼き鳥と焼売。元々は早稲田大学野球部御用達の店でしたが、最近は応援部の生徒さんがよく来るとのこと。でも一番多いのは、「早稲田の先生方ね~。先生がゼミ生を連れてくることも多いんですよ」。なるほど。確かに学生がワイワイガヤガヤやる店って感じじゃないかも。

「昔、野球部のグラウンドがこっちにあった時はね、裏口から野球部の子たちが、なんか食べさせて~、ってよく来ていたんですよ」。え? なんで裏口? 「ほら、店の中で野球部の監督が飲んでいたりするから」。なるほど~。監督には見つかりたくないけれど、お腹が空いたんで店の裏口に、ってことですね。

 など、エピソードを聞いているうちにオムライスが目の前に。おおっ~。想像していたよりデカイ!

これ以上ライスを盛ったら崩れそうな、限界ギリギリ感のあるオムライス。高さ約10cm
これ以上ライスを盛ったら崩れそうな、限界ギリギリ感のあるオムライス。高さ約10cm

 銀の皿は奥行き20cm、幅30cm、ほぼギリギリまで「オムライス」が乗っています。高さは約10cm。これ、卵で包んであるからこの高さをキープできているけれど、おそらくゴハンだけだったら崩れちゃう、ってくらいのボリューム感。重さは2,053g(器の重さを除く)。2kg超えのオムライスです。

「ゴハンは目分量でやるからさ、いつもこの量って決まっているわけじゃないんだよ」と店主。オムライス大盛は、普通のオムライスの約4人分、上にかかっているのは自家製デミグラスソースで、牛スネと小麦粉をオーブンで焦がしてルーを作るところから作っているとのこと。こだわりを感じます。

極薄玉子にケチャップライス。「昔のオムライスってのは、玉子が薄く焼けることがプロの技だったんだよ」
極薄玉子にケチャップライス。「昔のオムライスってのは、玉子が薄く焼けることがプロの技だったんだよ」

 ケチャップライスの具は玉ねぎ、ベーコン、チャーシュー。

「うちはラーメンも出しているからね、そのチャーシュー」と店主。ケチャップライスを包んでいる玉子はたった2個分。この大きさを2個の玉子で? 「先代が洋食屋で修行していてさ、オムライスの玉子は薄けりゃ薄いほどいい。それがコックの腕だって言ってたんだよ、だからうちのオムライスは玉子が薄い」。なるほど。昨今のフワトロ、とか、半熟、みたいなのとは一線を画しているんですね。

「そもそもさ、こっちは、一人で食べられないように作ってんだから、食べられるって言うんなら、こっちだって作るよ、ってことだよ」とチャキチャキ話す店主。もしやオムライス大盛りって、店への挑戦ってことなの?

 元々は店主の祖父、2代目の時代に、近くに住んでいた学生たちのため、「じーさんが調子こいてバンバン盛っちゃったんだよ」。そこから大盛りが誕生したとのこと。現在は、グループで来て注文する学生さんがほとんどですが、一人で食べに来たお客さんがいると、店主も腕がなるそうで「一人で食べるって聞くと、おっしゃー、ってなるね。作るときの気持ちが違ってくるよ」

江戸弁のテンポとイントネーションで小気味良く話す、4代目店主の宮田彦一郎さん
江戸弁のテンポとイントネーションで小気味良く話す、4代目店主の宮田彦一郎さん

 と言うことで、大盛り「オムライス」は、客対店主の真剣勝負。店主が、食べきれるもんなら食べてみろ、と大盛りを作り、客がその気持ちを受け、思う存分食べまくる、という男の真剣勝負です。なので、SNSのためなど、撮影だけして、ほとんど食べずに残す、なんてのは言語道断。店主の真剣な思いを受け取って、胃袋の限界まで美味しくいただくべし!

 うんと売りたい気持ちじゃないから、メニューにのっけてない「オムライス」大盛。もし複数人で行き、1人1つずつ挑戦したい場合は、事前に店に電話して相談するのがオススメです。ゴハンの量の都合もあるし。

 ちなみに人気メニューの焼き鳥は、週2日築地で直接買い付け、店でさばいて串に刺しているとのこと。その鶏肉をさばいたときに出るガラや中落ち肉に、豚肉を合わせて作るのが焼売。やや大ぶりの焼売は、モチっとしていて肉の旨みが濃厚。醤油やカラシがなくとも、そのままで美味しい! 

 昭和元年創業、おそらく早稲田界隈で一番古い飲み屋さんでもある『源兵衛』。4代目店主の作る、どこか古き良き時代を感じさせる「オムライス」は、デミグラスソースのコクと、チャーシューやベーコンの旨み、そして程よいケチャップの濃さで、胃袋の限界まで食べ続けていたい美味しさでした。

(取材・文◎石澤理香子)

●SHOP INFO

源兵衛外観

店名:源兵衛

住:東京都新宿区西早稲田2-9-13
TEL:03-3232-6635
営:16:00~24:00(LO23:30)
休:毎月3、13、23日、2020年12/31~2021年1/4