唯一ミシュランに選ばれた、東京で一番古いおにぎり屋『宿六』(浅草)とは?

寿司屋のような風情の中で味わう「にぎりめし」

宿六 カウンター画像

 浅草駅から風情あふれる浅草寺の参道を抜け、言問通りへ出てしばらく行ったところに『宿六』はあります。暖簾をくぐって店内に入ると、まるで寿司屋のようなカウンターが目に飛び込んできます。他では味わえないこの風情にまず、心が躍りました。

おにぎりの具をショーケースから選ぶのが新鮮!
おにぎりの具をショーケースから選ぶのが新鮮!

『宿六』の創業は昭和29年。壁には先代が書いたという達筆な色紙などが飾られています。カウンターのショーケースの中には、おにぎりの具が寿司のネタのようにずらり。具には王道の梅干しやさけ、たらこ。しらすや紅生姜、あみ、塩辛など、日本各地から取り寄せたものが揃っていますが、そこに奇抜な具はありません。「宿六のおにぎりを本当に楽しめる具」ばかりなのだそうです。

木型にご飯を入れて具をのせ、手のひらで包むように握る
木型にご飯を入れて具をのせ、手のひらで包むように握る

 一番人気の「さけ」を注文すると、店主の三浦さんが手早くショーケースから具を取り、おにぎりを作っていきます。大釜で炊いたコシヒカリを木型に入れ、具を詰めて、手のひらで握ります。その握り方が、とにかく優しい。手のひらでフワッと、ごはんを包むだけといった感じなのです。

 最後に千葉県産の海苔で巻いたら出来上がり。前面はシャリ全体を覆い、後側は跳ね上がったままの海苔が、パリパリとしていて香ばしそう。柔らかく流れるような手捌きで出来上がったおにぎりは、口にした瞬間、「シャリがふわふわ~!」と感動する食感で、柔らかいのに粒だったシャリがまた絶品です。

 シャリの旨みと海苔の風味、「さけ」の優しい塩気が重なって、至福のひとときが続きます。「海苔も塩も高い素材を使えばいいわけじゃない」と三浦さんは言います。肝心なのは、シャリと塩、具、海苔のバランス。

こちらは「あみ」。おにぎりはテイクアウトもできます
こちらは「あみ」。おにぎりはテイクアウトもできます

 確かに、何これ! と驚くようなおにぎりではありません。どこか懐かしい「元祖にぎりめし」を思い起こさせる安心の美味しさ。しかし、他では味わえない存在感がありました。それこそ、『宿六』ならではのバランスの素晴らしさなのでしょう。このあと、「梅干」を食べ、「あみ」も食べましたが、どれも旨い。

 壁に飾られた色紙には、こう書いてありました。「しみじみと心のかようにぎりめし」。まさに『宿六』のおにぎりは、昔も今も変わらない優しい味わいでした。

●SHOP INFO

おにぎり浅草 宿六 外観

店名:おにぎり浅草 宿六

住:東京都台東区浅草3-9-10
TEL:03-3874-1615
営:11:30~、17:00~(いずれもご飯がなくなり次第終了)
休:昼の部は日曜、夜の部は火・水・日曜
http://onigiriyadoroku.com/