東京一美味しい「勝浦タンタン麺」を荻窪の超人気店『ビンギリ』で食べてきた

勝浦よりも四川を感じる担々麺

『ビンギリ』は2011年にオープン
『ビンギリ』は2011年にオープン

『ビンギリ』は荻窪駅から徒歩10分の環八通り沿いにあります。車は多いけど、人通りは少ない、という場所なのに、筆者が訪れた平日昼の遅い時間でも満席。みんな担々麺を一心不乱に食べています。

 こちらの担々麺は、「勝浦タンタン麺(激辛)」(850円)、「こだわり担々麺(スープ多め)」(750円)、「汁なし担々麺(ぴり辛)」(750円)の3種類。注文したのはもちろん人気ナンバー1の「勝浦タンタン麺(激辛)」。無料の「ライス」もお願いしました。激辛だそうなので、少しでもご飯で和らげようという算段です。

担々麺のほか、「ビンギリラーメン(味玉入り)」、(650円)「特製中華そば」(800円)というのもあります
担々麺のほか、「ビンギリラーメン(味玉入り)」、(650円)「特製中華そば」(800円)というのもあります

 着丼までの間、脳裏をかすめたのは、数年前に勝浦で食べた、勝浦タンタンメンの元祖と言われる『江ざわ食堂』のこと。忘れもしません。スープを覆い尽くす真っ赤なラー油の香りと辛さで、麺をすするやいなや、誰もが「ブハッ」とむせ返るため、“江ざわ食堂”では「麺をすするべからず」というのがルールとして店内の壁に貼ってありました。それを思い出し、心して『ビンギリ』の「勝浦タンタン麺」の登場を待つことに。

「勝浦タンタン麺」850円とトッピングの「味玉」100円
「勝浦タンタン麺」850円とトッピングの「味玉」100円

 登場した「勝浦タンタン麺」は想像通り真っ赤っ赤。ラー油がスープの中で怪しい光を放っています。そして定番のざく切りの玉ねぎがたっぷりと浮かんでいます。“元祖”とちょっと違う点は、ニラや花椒ものっていること。

 さっそくスープを一口。あれだけ用心していたにも関わらず、何度もむせてしまうことになりました。おそらく、唐辛子だけでなく花椒も効いていて、ダブルパンチを喰らったからだと分析。辛さは想像通り強烈なのですが、ここでは花椒の存在感がハンパありません。苦味と痺れがシャープに切り込んでくるよう。

 その“カラ・ニガ・シビ”の後には、醤油スープの濃厚な旨み。豆板醤の発酵系の甘味も感じます。中細の縮れ麺をすすってみると、少し硬めの食感で、噛めば噛むほど麺自体の小麦の味も感じられます。

麺自体も、小麦の味がしっかりとして美味
麺自体も、小麦の味がしっかりとして美味

 そうそう、担々麺といえば挽肉の存在も忘れてはいけません。こちらの挽肉は、スープの下にたくさん沈んでいます。穴あきレンゲですくい上げてみると、見事な超粗挽き肉がゴロゴロ。「うわ、でかっ」っとつぶやきつつ、大きな挽肉を口に運ぶのがまた楽しいのです。

ざく切りの玉ネギと粗挽き肉がたっぷり入っています
ざく切りの玉ネギと粗挽き肉がたっぷり入っています

 麺を食べ終わっても、スープの底にたくさんの挽肉と玉ネギが残っているので、これを白いご飯に合わせたくなります。周囲を見回すと、スープの中にご飯を投入する人もいましたが、筆者は、ご飯の上にのせてみました。これがまた美味しいんです。思い出すのは以前、中国の四川省成都で食べた「麻婆豆腐」。 “麻(マー)”と“辣(ラー)”の刺激と味と香り。ご飯を頼んで本当によかったと思いました。

麺を食べ終わって残った挽肉や玉ねぎをご飯にかけて〆に。最高です
麺を食べ終わって残った挽肉や玉ねぎをご飯にかけて〆に。最高です

 それにしても、花椒がしっかり効いていたせいか、千葉件発祥の勝浦タンタンメンを食べながら、思い出すのが四川料理とは、なかなか不思議な体験です。香りや味の記憶というのは鮮明なもので、成都の街の風景まで蘇ってきました。ああ、海外に行きたい!

 というわけで、都内にいながら勝浦のみならず四川旅行気分にもなれて、なんともラッキーな気分に。近いうちに必ず「汁なし担々麺」も食べに行こうと心に誓いました。みなさんもぜひ一度、食べてみてください。やみつきになると思いますよ。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

ビンギリ 看板

店名:ビンギリ

住:東京都杉並区桃井1-12-16
TEL:03-3390-9645
営:12:00~14:30(スープ切れ次第終了)
休:日・第一月