年間1800杯!“かき氷の女王”原田麻子さんが選ぶ、今夏イチオシかき氷の名店とは?

「天然氷」のかき氷って、本当に美味しいの?

『志むら』のかき氷は、南アルプス・八ヶ岳の蔵元「八義」の天然氷をプラス108円で選ぶことができる。

 ちなみに、「天然氷」とは、自然水を池に溜めて、自然の気候を利用し、2~3週間かけてゆっくり固める氷。一方、かき氷屋さんで使うもうひとつの氷は「純氷(じゅんぴょう)」といって、水道水を48~72時間攪拌しながら冷やし固める氷のことだ。

 天然氷を使っているから美味しいと耳にすることもあるが、実際はどうなのだろう。

年間1800杯!“かき氷の女王”原田麻子さんが選ぶ、今夏イチオシかき氷の名店とは?

「志むらさんが作るかき氷の場合、天然氷と純氷の違いで、わかりやすいのは削り。天然氷の方は、ふわりと柔らかな感じがします。その分、まろやかな味に感じる。ただ、これは志むらさんが持つ技術であって、どこの店でも作り出せるわけではないのです。一方、純氷は天然氷よりもシャリッと削れたり、ふわっとさせることもできるので、シロップや作りたい形状によって、使う氷を変えたりするお店もあるんです」

 現在、天然氷自体を作っているところは、日光や秩父など7件。個々の蔵元さんが時間かけて作っているうえ、どこにでも運べるわけではないという貴重品である。

「天然氷は、ゆっくり固まるので、純氷よりゆっくり溶けます。ですから、シロップをかけたときにすぐに“べしゃっ”とはならない。ただ、店によっては、削りやシロップのかけ方次第で天然氷でも“べしゃっ”となります」

 そもそも貴重で丹念に作られる天然氷に合わせて、市販のシロップではなく、その氷に合った手作りの生のイチゴや、アンコを使って、自家製のシロップが登場してきたという経緯があるという。

「ですから、ただ単に天然氷を使っているからというだけで美味しいわけではないのです。しかも天然氷と純氷の味の違いをどれだけ食べる側がわかるのかといえば、食べまくっている私ですら、シロップがかかってしまうとその違いは厳密にはわかりません。私としては、だから正直言って、“美味しいシロップのかき氷はやっぱり美味しい”と思うだけなのです」

 というわけで、普段、あまり考えたこともなかったが、かき氷の深遠な世界をたっぷり堪能できた一日だった。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

年間1800杯!“かき氷の女王”原田麻子さんが選ぶ、今夏イチオシかき氷の名店とは?

店名:志むら

住:東京都豊島区目白3-13-3
TEL:03-3953-3388
営:菓子9:00~19:00
  カフェ10:00~19:00(L.O.18:30)
休:日