日本酒ファン必見!古酒・熟成酒専門店『いにしえ酒店』に行ってきた【前編】

日本酒ファン必見!古酒・熟成酒専門店『いにしえ酒店』に行ってきた【前編】
左から、長良川T-406 2005年(純米吟醸 山廃仕込)、 T-3 1998年(大吟醸、山田錦)、T-5 1996年(純米酒、7段仕込)(すべて小町酒造)

熟成味の幅の広さ、深さを知る貯蔵酒

小町酒造『長良川』貯蔵シリーズ

 岐阜県各務原市・小町酒造の長良川タンク貯蔵シリーズ。『いにしえ酒店』で熟成酒を出したいと相談し、タンクに寝かせていたお酒を分けてもらってオリジナル商品として販売している。だから、他では売っていない商品だ。
「シリーズそれぞれ酒質が異なり、熟成によって出てくる香り、甘み、とろみ、酸味などもまったく違います。熟成酒を初めて飲む方にとっては、円熟味の幅の広さや深さを知っていただけると思います」

古酒・熟成酒の常識とは?

 さて、2つの古酒や熟成酒を紹介してもらったが、そもそも古酒、熟成酒の基準は何か? と疑問が湧いてくる。『オールド龍勢』は1999年に造ったお酒を熟成させて古酒と呼んでいるが、いっぽう『長良川T-5』は、それよりも古い1996年に造ったお酒を熟成させているにもかかわらず古酒という表記をしていない。

「じつは明確な基準はないんです。蔵元によって古酒、熟成酒に対する考え方が違うので、ラベルの表記もまったく異なります。日本酒の基本的な知識として、ラベルにある製造年月というのは出荷した日のことで、酒を造った日付ではありません。

 そう、日本酒は酒造年の表記が義務付けられていないのだ。長良川シリーズのラベル裏を見ると貯蔵開始の年度が記載されているが、これがお酒を造った年。そして、薬師さんは言う。

「そもそも、日本酒には賞味期限がない、ということを知っていて欲しいですね」

(取材・文◎anco)

日本酒ファン必見!古酒・熟成酒専門店『いにしえ酒店』に行ってきた【前編】
左の瓶のラベルに注目! 製造年月は、28年12月となっているが、これは出荷した年月のこと。貯蔵開始は1996年で、これが酒造年にあたる。ちなみに「T-5」というのは貯蔵していたタンクの番号を記している。

(後編に続く)

●SHOP INFO

日本酒ファン必見!古酒・熟成酒専門店『いにしえ酒店』に行ってきた【前編】

店名:日本酒熟成専門の酒屋「いにしえ酒店」

住:東京都杉並区方南2-18-15
TEL:03-4291-431
営:平日14:00~21:00、土日13:00~18:00
休:月
http://www.inishiesake.com