スパイス香る“ネパール版水炊き”! 恵比寿『クンビラ』の「ヒマラヤ鍋」を食べてきた

ヒマラヤ山麓の郷土料理を15種のスパイスでヒートアップ!

スープに入れるスパイスの数々。手前左がエベレストにしかない珍しいスパイスのピプラ。その他、シナモン、ブラックカルダモンなど
スープに入れるスパイスの数々。手前左がエベレストにしかない珍しいスパイスのピプラ。その他、シナモン、ブラックカルダモンなど

 当地で25年、長野での創業から数えれば41年にもなる老舗ネパール料理店『クンビラ』のオリジナル「ヒマラヤ鍋」。実はこの鍋、ヒマラヤ山麓ではポピュラーな家庭料理のアレンジなのです。

 ジェネラル・マネージャーの出口美保さんによると、「もともとは、骨つきのチキンをヒマラヤの黒岩塩とウコンで煮込んだスープで、子供の頃から食べていた母の手料理なんです」とのこと。山口さんのお母様は、ネパールはヒマラヤ山脈の麓、ナムチェ村の出身。いわば、出口さんのおふくろの味がベースの鍋というわけです。「現地では、高山病にかかったら生姜をたっぷり入れたり、薬膳的な一面もあるんですよ」と出口さん。

 その商品化にあたって、スープにさらに磨きをかけたそう。ウコンのほか、オリジナルブレンドのガラムマサラを始め、エベレストにしかないピプラやネパール特有のジャイパトリなどなど、ざっと15種類余りのスパイスを使用。丸鶏からとったチキンスープと合わせれば、独特な深みを持つスパイシーな味わいに、食べる人の胃袋が歓喜します。

「ヒマラヤ鍋」2940円。丸鶏一羽がデンと鎮座する迫力たっぷりのネパール版水炊き。食べる時にスタッフが骨を外してくれます。ニラや豆苗、ヒラタケなど季節の野菜もたっぷり入ってヘルシー。写真は4人前で注文は2人前~
「ヒマラヤ鍋」2940円。丸鶏一羽がデンと鎮座する迫力たっぷりのネパール版水炊き。食べる時にスタッフが骨を外してくれます。ニラや豆苗、ヒラタケなど季節の野菜もたっぷり入ってヘルシー。写真は4人前で注文は2人前~

 ところが、これだけのスパイスを使っていながら辛味は意外にもマイルド。食べ進むうちに、身体全体からじんわりと込み上げてくるようなスパイシーさが持ち味です。加えて、丸2日間かけてヒマラヤの黒岩塩とウコンと煮込んだ丸鶏がもうひとつの鍋の主役。ちょうど1キロになるよう長野県の契約農家に委託した鶏は、ホロリと口中で解けるほどに柔らかく、スパイスの風味がほどよく広がります。カレー風味の旨味豊かなスープにつられ、思わずご飯にかけたくなりますが、そこはガマン! 〆にはステキな雑炊が待っています。

残ったカレースープにごはんを投入して作る雑炊
残ったカレースープにごはんを投入して作る雑炊

 雑炊の米は、オーナーのふるさとでもある長野県産。仕上げにお客の好みに合わせ、香菜、ネギ、トマトと玉ねぎ入りのピリ辛ソースで味を整えてくれます。

 この冬、ココロと舌にガツンと響くヒマラヤ鍋、ぜひ味わってみてくださいね。

(文◎森脇慶子 撮影◎吉澤健太)

●SHOP INFO

クンビラ

店名:クンビラ

住:東京都渋谷区恵比寿南1-9-11
TEL:03-3719-6115
営:11:30~14:30LO、17:00~22:30LO
  土・日・祝11:30~14:30LO
  ティータイム 15:00~17:00、17:00~22:30LO
休:無休

※当記事は『食楽』2019年冬号の記事を再構成したものです