四季を感じる料理のラインナップは見事
肉屋田中は、カウンター16席、個室4室からなる上品な空間の肉割烹。個室を見て驚いたのが、いずれの個室にもカウンターがあることです。目の前で料理人が調理してくれる様子を見ながら食事できるカウンター個室なんて贅沢すぎる!
最初に見せてもらったのが、今日使うお肉とアワビ。同店の「肉師」を務めるたなかさとる氏がこだわり抜いて落札した銘柄和牛で、賞付き牛はもちろんのこと、生産者や血統にもこだわった和牛を一頭買いして提供しているそうです。同店で使用するのは「日本三大和牛」に数えられる神戸牛と松阪牛で、魚介や野菜はすべて旬のものを使用しています。
最初に出てきたのが八寸。この日は、神戸牛のセンマイの土佐酢とりんご和え、厚焼き玉子、セリと水菜の白和え、神戸牛の八幡巻き、酔っぱらい海老、あん肝です。さすが割烹だけあって、最初から手間暇を惜しまない料理が並びます。赤やオレンジの彩りが季節を感じさせるのも和食ならでは。目の前で丁寧に料理を説明してもらえるので、海外からのお客様にも喜ばれそうですね。
続いては、神戸牛出汁あわびのすり流し。アワビの火入れが絶妙で、歯ごたえの良さがたまりません。海老真丈もぷりぷりで、神戸牛の出汁に臭みは一切ありません。まさに職人技を感じるお椀です。
この日の刺身は、神戸牛の赤身と熟成させたクエの昆布締め。刺身の上にはイタリア産のキャビアがたっぷり載っており、クエの肝で作られたソースが添えられています。徳島産のすだちをキュッと絞っていただくと……味の宝石箱とはまさにこのこと!
神戸牛はキャビアとわざびを載せて、クエは肝のソースでいただくのですが、一瞬で舌の上でとろけます。まだ焼いたお肉を食べる前ですが、思わず「幸せってこんな形だったのか」と口走ってしまいそうになりました。