赤と黒の一面地獄!? 体が温まる『ゆるり屋』(渋谷)の名物「地獄鍋」を食べてきた

辛みと刺激をレイヤードで、重ねる赤と黒のインパクト!

「黒地獄鍋」1人前2800円。ベースのスープは、豚ガラでとる白湯に黒胡麻ペーストを加えたもの。唐辛子系の辛さをきかせた赤地獄鍋に対し、こちらは、花椒や麻辣醤で痺れ系の辛味を強調。注文は2人前からで写真は3人前
「黒地獄鍋」1人前2800円。ベースのスープは、豚ガラでとる白湯に黒胡麻ペーストを加えたもの。唐辛子系の辛さをきかせた赤地獄鍋に対し、こちらは、花椒や麻辣醤で痺れ系の辛味を強調。注文は2人前からで写真は3人前

 都内広しといえども、これまで作った鍋は100以上などという鍋専門店はそうそうないでしょう。オープンして14年、ここ『ゆるり屋』では、常時80種類以上もの鍋を用意。それも、毎年季節ごとに新作の鍋が登場するというのだから驚きです。

「鍋は、野菜も肉も魚も、そして〆の食事まですべて鍋ひとつで完結できる優れた料理だと思うんです」と熱く語るのは、中島武氏。『紅虎餃子房』などで知られる際コーポレーションの代表取締役です。系列店は、中華はもとより、和食からイタリアン、フレンチまでジャンルも多岐にわたることもあり、これだけの鍋数が可能になったのだとか。

 なるほど、葱鮪鍋のような定番から、アルプスハイジ鍋やイタリアの漁師鍋、酸白菜鍋にブルガリアヨーグルト味噌鍋のような和洋折衷タイプまで、鍋で世界一周できそうなほどの品揃え。

「赤地獄鍋」1人前2800円。鳥ガラスープにしょっつるが隠し技。特注の火鍋の素を使ったベストセラー鍋。具には、牛ハラミに豚バラ、牛のホルモンも入り、もつ鍋的ニュアンスも。ベースのスープは、豚ガラでとる白湯に黒胡麻ペーストを加えたもの。こちらも注文は2人前からで写真は3人前
「赤地獄鍋」1人前2800円。鳥ガラスープにしょっつるが隠し技。特注の火鍋の素を使ったベストセラー鍋。具には、牛ハラミに豚バラ、牛のホルモンも入り、もつ鍋的ニュアンスも。ベースのスープは、豚ガラでとる白湯に黒胡麻ペーストを加えたもの。こちらも注文は2人前からで写真は3人前

 なかでも、オープン以来根強い人気を誇っているのが、「赤地獄鍋」と「黒地獄鍋」の2品。ともに辛さがウリですが、「赤地獄鍋」の方は、鶏ガラスープをベースに火鍋の素やコチジャン、豆板醤などで味つけ。朝天唐辛子がプカプカと浮かび、タカの爪の粉末で真っ赤に染まる鍋の様相に、一瞬怯むかもしれませんが、ご安心を。

 コチジャンの甘みや隠し味に加えたみりんの旨味のせいでしょうか、思いのほか辛味はマイルド。旨辛な味わいは、具のホルモンとの相性もぴったりです。どこか韓国のチゲ風でもある赤地獄鍋のシメは、雑炊ごはん。ランチでも人気の定食メ二ューというのもうなずけます。

辛さの中にやんわり広がる甘みがごはんを誘う赤地獄鍋のシメは、雑炊がぴったり。米とのマリアージュが楽しみです
辛さの中にやんわり広がる甘みがごはんを誘う赤地獄鍋のシメは、雑炊がぴったり。米とのマリアージュが楽しみです

 一方、「黒地獄鍋」は、仕上げに加える葱油が香ばしさを増し、具が見えないほどたっぷりと入れる黒胡麻がポイント。麻辣を効かせたストレートな辛さが持ち味です。豚ガラでとる白湯のコクが、花椒や自家製辣油など、複合的な辛味をしっかり受け止めます。

痺れ感が持ち味の黒地獄のシメは麺を入れればそのまま黒胡麻香る坦々麺に!
痺れ感が持ち味の黒地獄のシメは麺を入れればそのまま黒胡麻香る坦々麺に!

 〆に麺を加えれば、まさに黒胡麻担々麺。一粒で二度美味しい逸品です。

●SHOP INFO

ゆるり屋

店名:ゆるり屋

住:東京都渋谷区円山町5-18 道玄坂スクエアビル 2F
TEL:03-6415-1596
営:月~金12:00~14:30(14:00LO)、18:00~23:00(22:00LO)、土・祝17:00~23:00(22:00LO) ※鍋の注文はディナータイムのみ
休:不定休

(文◎森脇慶子 撮影◎大谷次郎)

※当記事は『食楽』2019年冬号の記事を再構成したものです