老舗とんかつ店『新宿さぼてん』本店の激レアメニュー「サボフィレ御膳」が旨すぎる理由

赤身なのにサシの入った希少なトンカツ

「SaboFilet(サボフィレ)かつ御膳」(2300円・税抜)
「SaboFilet(サボフィレ)かつ御膳」(2300円・税抜)

 ところで、とんかつといえば、「ロースとフィレ、どっちが好き?」という質問がよく飛び交いますが、筆者は断然ロース派です。豚でも牛でも、良質な肉の「脂」はとにかく美味しくて甘い。しかも肉の柔らかな食感は、脂があってこそ。その点、フィレはロースに比べて脂が少ないのがなんとも味気なく感じてしまうんですよね。そんなロース派の固定概念を完全に覆すのが、この「サボフィレ」なのです。

 スタッフの方によれば、「使用しているスペイン産のデュロック豚は、イベリコ豚よりずっと希少な豚で、高品質な生ハムなどに使用されるお肉です。しかも今回使っている豚は、デュロック豚とデュロック豚を掛け合わせた純粋種。赤身のフィレでもサシが綺麗に入っていて、その脂の融点が低いので、とろけるようなとんかつに仕上がるんです」とのこと。

 提供されたサボフィレは、網の上に6切れ載って登場します。肉の断面は、薄いピンク色で、肉汁で艶やか。繊維のきめ細かさも見てわかります。

「まずは真ん中の1切れから、ソースをつけずにそのまま食べてみてください」とスタッフさん。これには少し驚きました。「さぼてん」といえば、創業以来、ゴマをすり鉢ですってオリジナルソースを入れ、そこに、とんかつをつけて食べる方法を考案したことで有名なお店。

 なのに、この「サボフィレ」はソースなしが推奨されている……ということは、肉質に相当の自信がある証拠ではないでしょうか。

 言われるがままに、真ん中をスッと抜いてそのまま口へ。サクッと衣が音を立てたかと思うと、肉は繊維を感じさせることなく、しっとり柔らかく噛み切れます。ソースや塩といった助けも一切借りずに、肉が甘い。臭みも全くありません。

「続いて、塩、わさび&大根おろし、レモンの順でお召し上がりください」とのこと。どれもいたってシンプルな食べ方ですが、実に美味しい。塩はより肉の甘みを引き立て、わさびと大根の辛みと苦味、レモンの酸味は、肉の旨味を変化球的に倍加させてくれます。そして最後は、王道のゴマ&ソース。

 というわけで、実際に食べてみた「サボフィレ」は確かに絶品でした。しっかりと肉の旨味があって、脂の甘みやコクも感じる。しかも『さぼてん』特有の1つ1つのパン粉がキリッと立った衣のサクサク感と相まって、さっぱりと食べられて、重たさが全くないんです。

 これは絶対に本店にわざわざ行っても食べるべきです。『サボフィレ』、新宿の本店限定ですので、ぜひお早めにお試しください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

とんかつ新宿さぼてん 本店小田急エース南館店 外観

店名:とんかつ新宿さぼてん 本店小田急エース南館店

住:東京都新宿区西新宿1-1 小田急エース南館
TEL:03-3343-3807
営:11:00~23:00(LO 22:00)
※売店は10:30より営業
休:無