8品のコース料理は、茶懐石とイタリアンのいいとこどり
今回のコース料理を手がけたのは、京料理界の老舗『たん熊北店』の三代目主人・栗栖正博氏と、同じく京都で斬新なイタリアンを提供する『イル ギオットーネ』の笹島保弘氏。これまでさまざまなイベントに参加してきたお二人ですが、一緒にひとつのコース料理を考えたのは初めてだったそうです。
7月は熊本県の協力のもと、同県の食材を使った和食とイタリアンを融合させた計8品のコースが提供されます。実際に試食したのは2品でしたが、いずれも五感で楽しめる仕上がりになっており、意外な組み合わせにはエンタメ性も感じます。
最初に試食したのは、先付の「鱧の煮こごりを浮かべた熊本産トマトの冷たいスープ、蓮の葉で」。蓮の葉に載せられたじゅん菜をそのまま器に入れて食べるという、自分で最後にひと手間を加える感じがいいですね。
鱧は7月が旬の食材ですが、和食なら梅を使うところを、適度な酸味が残ったトマトと組み合わせることで、一気にイタリアンの味わいになっています。見た目の華やかさは和を感じますし、お見事としか言いようのない仕上がりです。
もうひとつの試食メニューは、「熊本あか牛の瞬間スモーク、夏野菜添え」です。あか牛は赤身が柔らかく、しっかりした味わいの和牛。「くまもとあか牛」は、県内で12か月以上肥育された褐毛和種の牛肉で一定以上の規格を満たすものと決められているそうです。
あか牛はサシの入り方が絶妙で、赤身なのに柔らかく、肉の旨みもしっかり感じられます。燻製の香りを付けたほうがより肉の旨みが引き出されますね。