肉屋の執念! 恵比寿『ブラッカウズ』のハンバーガーが完璧に旨い理由

極上のハンバーガーはいかにして生まれたか?

『ブラッカウズ』は、精肉卸「ヤザワミート」の直営店。パティは最高ランクの黒毛和牛100%。注文が入ってから、溶岩石を使ったハースグリラーで焼き上げます。このグリルで焼くことによって、輻射熱で包み込むように黒毛和牛に熱が入るので、外は香ばしく、中はジューシーなパティに仕上がります。そして、バンズは『メゾンカイザー』と共同開発したオリジナル。そして野菜の旨みをぎゅっと凝縮したオリジナルのBBQソースや自家製のタルタルソース…といった具合に文句のつけようがない完璧なハンバーガーなんです。

 最高級の和牛を使ったハンバーガーなら美味しいに決まってるよね、と思うかもしれませんが、実はそれだけではないのが『ブラッカウズ』のスゴさなんです。このバーガーが出来上がるまでの経緯を知ると、それがわかります。

パティはハンバーグより少しだけ粗挽きにしているそう
パティはハンバーグより少しだけ粗挽きにしているそう

「ヤザワミート」直営店といえば有名なのが、五反田の『ミート矢澤』。黒毛和牛100%のハンバーグが名物で、日本一長蛇の列ができるハンバーグ&ステーキ専門店として知られています。その『ミート矢澤』の従業員たちが賄いにハンバーグをパンに挟んで食べていたのが、『ブラッカウズ』誕生のきっかけ。

 “美味しいハンバーグをバンズに挟めば美味しいハンバーガーになる”

 そう思って開発を始めたそうです。しかし、その着想から『ブラッカウズ』が誕生するまで、なんと1年以上かかったのだそう。

 その理由を店長の末森祥平さんに聞くと、
「最高級のパティ、そして最高級のバンズ、トッピングなど、積み重ねて試作したのですが、どうもまとまらない。突き詰めていくと、ハンバーガーはバランスが大事。だから、あれもダメ、これもダメと、何度も試作を繰り返すことになってしまったんです」

バンズは、「カイザー・トラディショナル」という特別な粉を使用した希少なもの。毎日、焼きたてが工場から運ばれてくる
バンズは、「カイザー・トラディショナル」という特別な粉を使用した希少なもの。毎日、焼きたてが工場から運ばれてくる

 特に難しかったのはバンズ。既存のソフト系バンズは、肉汁やソースでビチョビチョになるし、ハード系だと食感が強すぎる。

 そこで、パンの名店『メゾンカイザー』に依頼し、オリジナルのバンズを開発したのだそう。出来上がったのは、「カイザー・トラディショナル」という特別な小麦粉を使用したバンズで、外側はカリッと香ばしく、中はふわっと柔らかい。そして小麦の風味がきちんとあって、ほどよい甘みもあります。

自家製のタルタルソース
自家製のタルタルソース

 さらにソース。こちらは全国の他店を食べ歩いて研究した結果の力作。

「肉に野菜は非常に合います。ただ、フレッシュな野菜をバーガーの中に積み重ねると食べづらく、余計な水分が肉の邪魔をする場合もあります。それならば、十数種類のお野菜の旨味を溶け込ませたBBQソースがいいんじゃないか、ということで開発したんです。今回の店舗リニューアルにあたり、飴色にローストしたタマネギを加えて甘みを出し、フォンドボーも加えてより深みを出しました」

 また、黒毛和牛の甘い脂にぴったりと合う、酸味とコクのバランスの良いタルタルソースも開発し、ダブルソース方式を採用することに。こうして1年がかりで、ブラッカウズのバーガーの基本スタイルがようやく完成したのだそう。

絶対食べるべきバーガーはどれ?

「ベーコンチーズアボガドバーガー」2,100円。北海道産のフライドポテト(または国産野菜サラダ)、イタリア産最高級ピクルス付き
「ベーコンチーズアボガドバーガー」2,100円。北海道産のフライドポテト(または国産野菜サラダ)、イタリア産最高級ピクルス付き

 聞けば聞くほど緻密に計算されたハンバーガーということがわかったところで、実際に『ブラッカウズ』を訪れ、メニューを開くと、バーガーにも様々な種類があります。どれにしたらいいのでしょう?

 そこで末森さんにイチオシを聞いてみたところ、即答で「ベーコンチーズアボカドバーガー」(2,100円)をお勧めしてくれました。

「ベーコンチーズアボガドバーガー」の断面
「ベーコンチーズアボガドバーガー」の断面

 そのバーガーの構造を下から上に向かって列挙すると、下記のようになります。
1)メゾンカイザーのバンズ
2)自家製タルタルソース
3)黒毛和牛100%のパティ
4)モントレージャックチーズ
5)自家製バーベキューソース
6)千葉県産なでしこポークのスモークベーコン
7)アボカド&アボカドオイル
8)自家製のコブドレッシング
9)メゾンカイザーのバンズ

 なんだか、ちょっとした高級レストランのコース料理のような組み立てのようにも聞こえますが、店は恵比寿らしい気軽でカジュアルな雰囲気。そして、スタッフこだわりのクラフトビールも揃っていて、黒毛和牛のローストビーフを始めとするおつまみも充実しているんです。

 まずは、完璧なバランスを追求した究極の「ベーコンチーズアボカドバーガー」を食べてみてください。感動します。そして、しばらく経つと禁断症状が出てきて、また食べに行きたくなりますよ。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

BLACOWS(ブラッカウズ) 外観

店名:BLACOWS(ブラッカウズ)

住:東京都渋谷区恵比寿西2-11-9 東光ホワイトビル1F
TEL:03-3477-2914
営:11:30~16:00(15:00LO) 、18:00~23:00(22:00LO)
土日祝・11:30~16:00(15:00LO)、16:00~23:00(22:00LO)
休:火曜(12月31日~1月2日休業)
http://www.kuroge-wagyu.com/bc/