世界的潮流! モダンオーストラリア料理とはいったい何か?

世界的潮流! モダンオーストラリア料理とはいったい何か?
食楽web

世界を席巻する「モダンオーストラリア料理」とは?

 こんにちは。羊齧協会主席の菊池一弘です。

 2017年に16年ぶりにフランス産羊肉が輸入再開されたと思ったら、今度はアメリカ産ラム肉の輸入開始が話題になるなど、ラム肉をめぐる状況は日々めまぐるしく動いています。

 国産ラム肉の生産量はわずか1%で、日本に流通するラム肉はほぼ輸入品です。輸入元の国も増え、輸入量も毎年約数千トンずつ増加をたどり、産地の選択肢が増えているとはいえ、日本に流通するラム肉の多くはオーストラリア産。輸入量の半分以上を占めています。

 そんな羊肉の本場、オーストラリアでは、どういうふうに羊を食べているのか気になる人も多いのではないでしょうか。羊齧協会を運営する筆者自身、少し前まで正直「オーストラリア料理」と言うと、シンプルにローストするかBBQくらいしか思いつかなかったのですが、現在、世界的に「モダンオーストラリア料理」が注目を集めているんです。

 ただ、いきなり“モダンオーストラリア”と言われてもピンとこない人も多いと思いますので、今回は羊肉をからめつつ、どんなものかご紹介したいと思います。

国土が広いオーストラリアは本当に食材が豊富。この豊富な食材がオーストラリア料理の基本となる
国土が広いオーストラリアは本当に食材が豊富。この豊富な食材がオーストラリア料理の基本となる

で、モダンオーストラリア料理とはなんぞや?

 モダンオーストラリア料理とは、一言でいうと「定型がない」料理です。多くの民族や文化が溶け合うオーストラリアでは、さまざまなルーツを持つシェフたちが自由に、どん欲に世界中の食文化を取り入れています。また、一つの大陸で一つの国であるオーストラリアは、気候が多様なこともあり、食材の宝庫。そこに、先住民のアボリジニのスパイスなど、他にはない要素も加わってきます。

 これらの多様性が相まって、オーストラリア料理は自由で独創的、驚きに満ちています。以前メルボルンへ行ったときに、料理に味噌やワサビが当たり前のように取り入れられているのを見て、驚愕したものです。強いて私なりにモダンオーストラリア料理を再定義すると「オーストラリアの食材と世界中の食文化と先住民族の知恵を生かした料理」とでも言いましょうか。

 世界中の主要都市では、すでにモダンオーストラリア料理は広く受け入れられているので、近々日本でも受け入れられて広まっていくのではないかと思います。

 そして、今回紹介するのは、東京は銀座のGINZA SIXの中にあるモダンオーストラリア料理専門店『Ironbark Grill & Bar』。独創的なモダンオーストラリアのラム肉料理が味わえるとの評判を聞きつけ、早速行ってきました。

銀座の街を見下ろしつつ、ゆっくりくつろげる落ち着いた店内
銀座の街を見下ろしつつ、ゆっくりくつろげる落ち着いた店内
この発想はなかった!つくね風ラムチョップ。
この発想はなかった!つくね風ラムチョップ。

 先日、私がお店に伺った時にメニューで目を引いたのが、南オーストラリア産ソルトブッシュラムのラムチョップ。メニューの文字情報から、ラム肉をシンプルに炭火で焼いたものが出てくることを想像していたのですが、実際に出てきたラムチョップがこちら。一見すると大きな「つくね」なんです。

 ラムチョップを芯にして骨周りの肉をひいたミンチで包み、さらに網脂を巻き付けてから焼き上げたそう。火の通り具合も絶妙、鮮やかなピンク色のビーツとヨーグルトで作られたソースでこれがうまく絡みます。本当に、この発想はなかった! と大声を出してしまう独創的なラムチョップでした。

 ちなみに、ソルトブッシュラムとは、アカザ科の植物で天然のミネラルが含まれる植物を食べている羊の肉のことで、ラム肉自体に天然ミネラル成分とビタミンEが多く含まれています。

 こちらのお店の特徴として、ラム肉を使った料理もそうですが、多くの食材をオーストラリアから取り寄せており、これに様々な国の文化がミックスされた調理法を楽しめるとことです。書き手が言うことではないのかもしれませんが、言葉では概念がなかなかお伝えしづらいモダンオーストラリア料理。ぜひ、自らの舌でどんなものか確認してみてください。

●SHOP INFO

Ironbark Grill & Bar

店名:Ironbark Grill & Bar(アイアンバーク グリル&バー)

住:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6F
TEL:03-6264-5402
営:11:00~15:30(14:30LO) 17:30~23:00(22:00LO) ※日曜は21:00LO
休:GINZA SIXの休館日に準ずる
https://ginza6.tokyo/shops/1221

●プロフィール

菊池一弘

羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親しんで育つ。北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼し羊好きの消費 者団体「羊齧協会」を結成。本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務などに携わっている。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。
http://hitujikajiri.com/