斬新なフレーバーと極やわ食感が話題! 老舗和菓子舗の新ブランド『It Wokashi』の大福を食べてみた

求肥の皮とクリーム餡の斬新な食べ合わせに興味津々

 大福のバリエーションは「クリーム&餡」「ごま&マンゴー」「いちご&ピンクペッパー」「抹茶&レモン」「烏龍&杏仁」「ぶどう&ラムレーズン」の全6種類(各350円・税別)。それぞれ、生クリームと手亡豆で仕上げた特製クリーム餡を求肥で包んでいます。

「粒あん&クリーム」は北海道産小豆を使った自家製粒あん入りの特製クリーム餡をプレーンな求肥の皮で包んだもの。6種の中で最もスタンダードな一品です。

 クリーム餡にピンクペッパーを加え、求肥にいちごを練りこんだ「いちご&ピンクペッパー」は、ほどよいスパイス感が心地よい食べ合わせ。

「葡萄&ラム」はダークラムとレーズンを練りこんだクリーム餡をぶどう風味の求肥で包んだ大人の味わい。

 トロピカルテイストの「ごま&マンゴー」はマンゴーピューレと胡麻を練りこんだ求肥とクリーム餡の組み合わせが中華デザートのニュアンスを感じさせます。

「烏龍&杏仁」はクリーム餡に杏仁豆腐のフレーバーをイメージさせるアマレットリキュールを加え、烏龍茶風味の求肥で包んだもの。想像力によっては烏龍茶を飲みながら杏仁豆腐を食べているような感覚になるかもしれないエキゾチックな食べ合わせです。

 6種の中でもとくに興味深いのが「抹茶&レモン」。抹茶を練りこんだ求肥とレモンペーストを練りこんだクリーム餡の組み合わせは実際食べてみると違和感ゼロ。レモンの優しい酸味が後を引き、口の中が爽やかな余韻に包まれます。

「どれもガツンとくる風味ではなく、香りがほんのり漂うような、あとからふわりと感じるような、そんな感覚です。香りづけとして使っているラムやリキュールのアルコール分は飛んでいるのでお酒っぽさはありません。また、一見、斬新ともいえる食べ合わせと思われますが、それぞれのよさを引き出し合った絶妙な味わいに仕上げています」と、マネージャーの川合将之さん(以下同)。

 皮と餡のオリジナリティに富んだ組み合わせもさることながら、驚くべきは大福の柔らかさ!

手で扱うのにてこずる極やわ感に、思わず「なんて柔らかさだ!」と叫ぶ

 もともと、この大福は「大徳屋 長久」のクリーム大福「わた雪」の製法がベースになっています。極限までふわふわの食感を追求し、改良を重ねた末、ようやく完成した渾身作。

「わた雪」同様、6種類の大福も柔らかすぎるあまり、よくも悪くも手で扱いづらく、口に運ぶ際、食べる人を慌てさせるほどです。「なんて柔らかさだ!」と半ギレするべからず。びよ~んと伸びる皮や、ぷに~っとした極やわ感はもはや大福という枠を超えた新感覚の和菓子に思えてくるのです。

「三重の工房でつくった大福は冷凍便で届くため、基本的に店舗でのお渡しは冷凍です。究極の柔らか食感を楽しむには食べる1時間前に自然解凍を。また、凍ったままアイス感覚で召し上がっていただいても美味しいですよ。冷凍、半解凍、全解凍と、食べるタイミングによってそれぞれ異なる食感を楽しめるというのもこの大福の魅力です」

 どんな飲み物と合わせるのがいいのか伺うと、川合さんからはこんな提案が。「お茶はもちろん、洋菓子のニュアンスも感じられる大福なので紅茶との相性もいいです。面白いところではクラフトビールや洋酒などと合わせるのもアリです」

 川合さんは中華料理店やバーなど、飲食業に長く携わってきた経験から、今後は大福とお酒のマッチングや食後のデザートとしての大福のあり方などを多方面に提案していきたいといいます。聞けば、「It Wokashi」の大福とクラフトビール店のコラボ企画もすでに実現し、現在、大福に続く第二弾の和菓子プロジェクトも始まっているとのこと。

6個セット2,484円。ネットでの取り扱いもあり
6個セット2,484円。ネットでの取り扱いもあり

 そもそも、「It Wokashi」は、和菓子づくりを天職と感じる一方で、和菓子における伝統やルールに縛られることなく、もっと自由で現代に合った和菓子を提案し、和菓子文化や和菓子の魅力を世界中に伝えたいという16代当主の熱い思いからスタートしたプロジェクト。

 老舗の看板を守りながら新たな和菓子づくりに挑む当主と、その思いに共感した仲間たちが一緒になって完成させた新世代の和菓子店。なにはともあれ、唯一無二の極やわ大福をお試しあれ。

(取材・文◎笹森ゆうみ)

●SHOP INFO

店名:It Wokashi

住:東京都世田谷区奥沢7-19-17
TEL:03-6882-005
営:10:00~17:00
休:不定休(休業日はインスタグラムでご確認ください)
https://www.instagram.com/it_wokashi/
ホームページ(お取り寄せ)
https://itwokashi.official.ec