東京センベロ巡礼! 吉祥寺『もつ焼きカッパ』で1,000円飲みにチャレンジしてきた

東京センベロ巡礼! 吉祥寺『もつ焼きカッパ』で1,000円飲みにチャレンジしてきた
食楽web

 吉祥寺駅の南口エリアに、50年以上続く、安くて旨い店があると聞き、センベロに挑戦しようと向かったのは、井の頭通り沿いにある『もつ焼きカッパ 吉祥寺店』。

 16時半の開店前には、お客さんがすでに外で並んでいます。その列に、お店の人が先に注文を聞き、店に入ったらすぐにお酒が出てくるスピーディーな対応。臨戦態勢、バッチリです。

 店に入ると、大きなコの字型のカウンターがあり、席数は21席。立ち飲みのスペースには約10人ほどが入れます。カウンターの中ではキビキビとお店の人がお酒を出したり、炭火で焼かれた串を出すなど、迅速な動きでお客さんたちのオーダーに応えています。

壁に貼られたお品書き。お酒はビール、ワイン、日本酒など。「五加皮」は、中国の薬酒。知ってた?
壁に貼られたお品書き。お酒はビール、ワイン、日本酒など。「五加皮」は、中国の薬酒。知ってた?

 炭火で焼く串の種類は裏メニューを入れて約17種、1串110円の明朗会計です。カシラ、レバなどの下に(頭)、(肝臓)など部位がわかる説明が。改めてみると、あ、そうか~、ガツは胃袋だったよね~、とか、リンゲルって何? 膣? と、新たな発見も。

「ウチは毎日新鮮なモツがトジョウから送られてきます。それを手作業で仕込んでいるから良心的な価格なんですよ。元々は1串90円だったけれど、最近の物価上昇でいたしかたなく値上げしてね~」と話す店主。それでも1串110円はスゴイ! ちなみにモツの掃除や串打ちなど、すべて店の人がこなす仕込みで作られるのは1日約1,000本分。なくなり次第店じまいとのことです。

串3本で330円、お新香220円、老酒420円。完璧な組み合わせ!
串3本で330円、お新香220円、老酒420円。完璧な組み合わせ!

 センベロにするのに、何にしようか……真剣に考えて、人気のレバ、シロ、カシラの串3本に、手作りのお新香220円、お酒は何にしようか考えていると、「ウチに来たなら老酒(ラオチュウ)がいいよ」とのことで、老酒に決定! 実は、老酒がいいのには理由があるんです。

左から、レバ、シロ、カシラ各110円。臭みゼロ。それぞれの食感の違いが楽しい
左から、レバ、シロ、カシラ各110円。臭みゼロ。それぞれの食感の違いが楽しい

 炭火で焼きあがったばかりの串をパクッ。あれ? タレが独特? 甘辛なだけじゃない、ほのかにスッキリとした鼻に抜ける香りが。「実はウチのタレは、漢方が入っているんですよ。先代が台湾ルーツだったので。何が入っているのか? それは企業秘密(笑)」。

 だから老酒と合うんですね。納得! しかも、普通に飲んで食べるより、なんか体に良さそうな気がしてきます。久々の老酒ストレート、あとでクラッときそうだけれど、一気に飲まなきゃ大丈夫でしょ。チビチビ、ゆっくり流し込みつつ、モツ串との相性を楽しみます。

この煙に誘惑される……。秘伝のタレの壺もいい感じです
この煙に誘惑される……。秘伝のタレの壺もいい感じです

 周りを見渡すと、入店10~15分でもう席を立つお客さんが。早い! まさに、ちょっとひっかけにきた、という雰囲気です。きっと常連さんなんだろうなぁ。佇まいが慣れている感じがします。「立ち飲みのお客さんは特にそうですね。なかには、目の前のバス停で、待つ間にちょっと、というお客さんもいますよ」とのこと。バスを待つ間に軽く一杯。吉祥寺の人は粋ですね~。

 でも、ここの煙をバスを待っている間に嗅いでしまったら、ついフラフラと入りたくなってしまうのかもしれません。

手作りの「おしんこ」220円。冬場は白菜、夏場は大根やきゅうりのぬか漬けを出している
手作りの「おしんこ」220円。冬場は白菜、夏場は大根やきゅうりのぬか漬けを出している

「モツもおいしいけれど、ウチの漬物は絶対食べていってほしいね~」と店主。1週間かけて作る手作りのお漬物は、箸休めに最強。「実は、野菜が一番高いんだよ……」とこぼす店主。原価率の高い漬物、これもマストということで。

「老酒」420円は、表面張力を超えて小皿にこぼれるうれしい量。まずは顔を近づけてチューッと
「老酒」420円は、表面張力を超えて小皿にこぼれるうれしい量。まずは顔を近づけてチューッと

 ほんのり甘い老酒、ほどよい塩気の漬物、クセになりそうな味わいのタレがいい感じの串、と味わっていると、不意にお隣にいた人から話しかけられました。

 席と席の間が近いので、初めて会った人ともフレンドリーに会話が始まります。無言でサッと食べて帰っていく人も、常連同士らしきひとたちの気軽な会話も、そして初めて会った隣の席の人との会話も、誰もがリラックスしたいい雰囲気。老酒がゆっくり回ってきて、体が芯から暖まってきたところでセンベロ終了です。

税込トータル970円。いいセンベロだった~。老酒飲みに、また来ようっと
税込トータル970円。いいセンベロだった~。老酒飲みに、また来ようっと

 1串1串、ていねいに打って、それを炭火で焼いて、漢方入りオリジナルのタレで味付け、と、1串110円は安すぎる高クオリティ! センベロくくりじゃなかったら、端から全部食べ進めたいほどおいしいモツ串と、お母さんがつけたようなホッとする味わいの漬物、そしてじんわりあったまる老酒で、1,000円以上の価値を感じる『カッパ』。次回は、井の頭公園を日中に散歩して、万全の体制を整えてから食べるぞ~飲むぞ~! と心に誓ったのでした。

(取材・文◎石澤理香子)

●SHOP INFO

もつ焼きカッパ 吉祥寺店

店名:もつ焼きカッパ 吉祥寺店

住:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-5-9
TEL:0422-43-7823
営:16:30~22:00(L.O)※売り切れ次第終了(のれんがかかっている間は入店可)
休:日曜、祝日