極上鴨肉のフルコースが5,000円台で堪能できる『十番 無鴨黒-Na Camo guro-』とは?

真空低温調理で驚くほどしっとりジューシーな「藁焼き鴨 葱ソース」

「おきまりコース」5,800円の一品「藁焼き鴨 葱ソース」
「おきまりコース」5,800円の一品「藁焼き鴨 葱ソース」

 おきまりコースは、前菜からデザートまでどれも新感覚で魅力的な料理ですが、中でも注目していただきたい数品を厳選してご紹介。

「前菜の盛り合わせ」「蒸し野菜のアンチョビジンジャーソース」の後に提供される「藁焼き鴨 葱ソース」は、70℃の真空低温調理でしっとり仕上げた鴨ムネ肉を、800℃の藁焼きで旨味を閉じ込めた一品です。

 口に含む前から藁の香ばしい香りが漂っていて、パサついて硬いというネガティブな鴨肉のイメージを見事に払拭してくれるしっとり&ジューシーさでした。取材時は葱ソースが添えられていましたが、時期によってソースは変わります。これも「来るたびに様々な味を楽しんでほしい」という願いが込められているからだそう。

とろけるチーズと肉味噌が絡む「麻婆ブッラータ」

「鴨小籠包」の後に登場する「麻婆ブッラータ」も筆者イチオシのメニュー。麻婆豆腐をイメージしたというこちらの料理は、フレッシュなモッツァレラの中に生クリームを巾着状に包んだイタリア産のブッラータチーズにバジルを合わせ、数種の味噌と肉、ラー油、花椒(ホアジャオ)を合わせています。

 しっかりとした強めの味わいと花椒の香りが鼻から豊かに抜ける肉味噌に、濃厚でフレッシュなブッラータチーズが絡まり、うっとりするような味わい。中華の技法にイタリアンの食材を使用するという斬新さながら、親しみやすい味に仕上がっているのが面白いところです。肉味噌の味がしっかりしているので、ペアリングしていただいた赤ワインがクイクイ進んでしまいます。

酢豚よりも美味しい?!とろける脂がたまらない「酢鴨」

「青菜炒め」を挟んでメイン料理として登場したのが酢豚ならぬ「酢鴨」!一般的に豚肉の融点は37~42℃言われていますが、鴨肉はなんと14℃。つまり鴨肉は豚肉よりも脂がとろけやすい食材であるのです。そのためこちらの酢鴨もカラッと揚がった衣や赤身部分は噛み応えがあるものの、脂部分はすぐにとろけてしまいびっくり。噛むごとに口に広がる鴨の旨味は、ずっと口の中に留めておきたいほどの美味しさです。肉団子も添えられており、そちらはしっとりさっぱりしていて滑らかな口当たり。

「酢鴨」には、サンターディの「ロッカ・ルビア」をペアリング。熟した果実のような香りの赤ワインが、甘塩っぱいソースと鴨の味わいを引き立ててくれていました。

〆の「カモマンガイ」は米好き、鴨肉好き、エスニック好きにはたまらない!

 個人的に今年食べた米料理で一番美味しかったと豪語できる料理がこちらの「カモマンガイ」。茹で鶏とその茹で汁で炊いたタイやアジアのご飯料理「カオマンガイ」ならぬ“カモ”マンガイというネーミングも面白いですよね。ちなみに『十番 無鴨黒 -Na Camo guro-』のおきまりコースでは、締めの飯物を「汁なし担々麺」「鴨ラーメン」「カモマンガイ」から一品選ぶことができます。

 オーダーしてから土鍋で炊き上げる「カモマンガイ」は、鴨の芳醇なスープをたっぷりと吸ったジューシーなジャスミンライスに、しっとりとした鴨ムネ肉、たっぷりのパクチーがアクセントになったエスニックな一品。山椒の醤油漬けのタレをお好みで合わせ、味の変化を楽しみながらいただきます。

 一般的に水分少なめで炊き上がるジャスミンライスですが、日本人の舌に合わせ出汁をふんだんに吸わせたしっとりした味わいも特徴。最上鴨の滋味深い味わい、パクチーの清涼感、鴨出汁を吸ったジャスミンライスが最高のコンビネーション! カオマンガイ以上に後を引く美味しさでした。エスニック好きだけでなく、お米好き、鴨肉好きにもぜひ食べていただきたいです。