上野に根ざして60余年! 町中華『珍々軒』のラーメン&タンメンが半世紀以上愛され続ける理由

不動の人気メニュー2大麺その旨さの理由

「醤油ラーメン」500円
「醤油ラーメン」500円

 店の顔はやはり「醤油ラーメン」。豚足や手羽、モミジなどでとったダシに、長ネギやタマネギなども一緒に煮込み、アク抜きで卵の殻を投入するなど、丁寧に作り上げたスープにストレート麺。トッピングにネギ、メンマ、チャーシュー、キヌサヤがのって、1杯たったの500円!

「値段を上げたくてもこれだけは上げられないんですよ」と話すマダム。昔は300円、350円、400円と材料費があがるにつれ値段が変わっていったのですが、500円にしてからはずっと据え置き。

 なぜなら、シンプルかつ昔ながらの味を求め、何十年も前によく食べに来ていた客が、2世代、3世代にわたって食べに来るから。昔アメ横で働いていた人や食材を仕入れに来ていた人、近くに住んでいた人が、昔と変わらない珍珍軒の味を求めて、今でもフラッと食べに来るそう。

「少なくとも30年以上作り方は変えていないですね。調理人が変わる際も、きちんと作り方は伝承して。なので、懐かしい味にまた出会えたと喜んでくれるお客さんも多いですよ」とのこと。

醤油の香りもしっかり感じられる、旨味十分なスープ。後味スッキリ!
醤油の香りもしっかり感じられる、旨味十分なスープ。後味スッキリ!

 レンゲですくってみると、琥珀色に輝く透明なスープ。雑味などは感じないすっきりとしたおいしさは、何回食べても飽きのこない、オーソドックスかつ王道の味。ふと思い出すと、無性に食べたくなるようなラーメン。愛され続けているのに納得です。

「タンメン」700円。ラーメンと並ぶ人気
「タンメン」700円。ラーメンと並ぶ人気

 そして、もうひとつの看板メニューが「タンメン」。塩味のスープに、キャベツやモヤシ、ニンジンやニラのトッピング。野菜を炒めた際のゴマ油がほのかに香り、ほんのり甘さを感じられる、やさしい美味しさです。

タンメンならではのじわじわっとくる塩味のやさしい味わい
タンメンならではのじわじわっとくる塩味のやさしい味わい

 こちらもスープをすくってみると、やや透明の白いスープ。朝からでもスッと食べられるような、ほどよい塩梅のスープです。途中で卓上にある自家製のラー油でピリッと味変をするのもおすすめですよ。

注文が入るごとに鍋を振るうので、野菜炒めもタンメンの野菜も常にシャキシャキの食感
注文が入るごとに鍋を振るうので、野菜炒めもタンメンの野菜も常にシャキシャキの食感

「最近、チャーハンも人気が出てきているのよ。理由はわからないけれど。うちの味付けは塩とちょこっと醤油。コショウは入ってないの。その味がいいってねぇ」とのこと。
 余計なことをしない、余計なものを足さない、シンプルなのに手を抜いていないのがわかるラーメンを出す店のチャーハンなら、絶対においしいはず!

上野駅の広小路口や正面玄関口から徒歩約3分。京浜東北&山手線のガード沿いにそのお店はあります
上野駅の広小路口や正面玄関口から徒歩約3分。京浜東北&山手線のガード沿いにそのお店はあります

 夜は上野~アメ横エリアで飲み歩きを楽しんだあと、シメのラーメンとして食べに来る人も多いので、終日ほぼ満席、ときどき行列。でも回転が早いため、並んでもすぐ席につけるのでご安心を。

 子供の頃、父親に連れられて食べた、昔ながらの味がまた食べたい…という人は、ぜひ『珍々軒』へ。アメ横の人たちを半世紀以上魅了し続ける、どこか懐かしくてホッとするラーメンを味わってみませんか?

(撮影・文◎石澤理香子)

●SHOP INFO

珍珍軒 外観

店名:珍々軒

住:東京都台東区上野6-12-2
TEL:03-3832-3988
営:10:00~23:00(LO22:30)
休:月曜(祝日の場合翌日)