夏季限定で累計13万食を売り尽くしてきた『かつ吉』の元祖「冷やしかつ丼」の魅力とは?

元祖「冷やしカツ丼」と初対面!

 ところで、みなさんは「冷やしかつ丼」はどんな料理だと思いますか? 「卵でとじたかつ丼を冷やしているのでは」と言う人もいるでしょう。同感です。「冷やしたぬき」や「冷やしおでん」なども、温かいバージョンをほぼそのまま冷やしにした感じですから。しかし、『かつ吉』の「冷やしかつ丼」はぜんぜん違いました。

「冷やしかつ丼醤油」(銘柄豚ロース)1,600円。キャベツ、小鉢2品付き。ちなみにかつは、香潤鶏むね(1,500円)、銘柄豚ロース(1,600円)、銘柄豚ひれ(1,700円)の3つから選べます。※香潤鶏は日比谷店限定メニュー
「冷やしかつ丼醤油」(銘柄豚ロース)1,600円。キャベツ、小鉢2品付き。ちなみにかつは、香潤鶏むね(1,500円)、銘柄豚ロース(1,600円)、銘柄豚ひれ(1,700円)の3つから選べます。※香潤鶏は日比谷店限定メニュー

 ごはんがおつゆの中に浸かっているんです。その上に揚げたてサクサクの厚切りとんかつが載り、さらに山イモのとろろ、ミョウガ、シソがトッピングされ、サイドにはきゅうりやオクラといった夏野菜が添えてあるのです。丼の中にはクラッシュ氷がたっぷりと浮かび、その温度は約0℃だそうです。

『かつ吉』の「冷やしかつ丼」が秀逸なのは、まず名店ならではの揚げたてのトンカツ。店長の石原弘一さんによると、「岩手の銘柄豚“岩中豚”を使用しており、その肉質は、しっとり、肉の味が濃いのが特徴です」とのこと。その美味しさを生かすため、油はサラダ油とゴマ油であっさりと揚げているそうです。しかも油の鮮度を大切にしているので、こまめに変えているそう。

 だから、トンカツの衣の油がじつに軽いんです。「冷やしかつ丼」が着丼した瞬間の、揚げたてサクサクの衣は絶品です。また、食べ進むにつれ、出汁に浸かっていたふにゃりとした衣もまた味わい深く、冷え冷えのカツも絶品です。

「おつゆは、枕崎産の鰹節、北海道産の真昆布などで丁寧にとった無化調の特製出汁で、これを冷やして味わったときにちょうどいい塩梅の濃度にしています。また、ご飯と相性をよくするために、注文が入ってから冷水で洗ってぬめりをとってから特製出汁に入れるんですよ」(石原さん)

 このひと手間のおかげで、ご飯が超サラサラ! 梅やシソ、ミョウガといった爽やかな薬味も効いて、涼しい気分でスルスルッと食べられます。なるほど、猛暑日にも多くの人たちがこの1杯を求めてやってくるのも納得です。