黒豚、鶏、ジャンボ、ポーク全てで素材の旨みを実感できる『菅商店』の“純築地産”シュウマイが凄い!

黒豚、鶏、ジャンボ、ポーク全てで肉の旨みを実感できる『菅商店』の“純築地産”シュウマイが凄い!
食楽web

 都内には良質なシュウマイを提供する店がひしめく「シュウマイ聖地」が数箇所ありますが、シュウマイにとどまらず、東京を代表するグルメタウンとして知られる築地も、実はそのひとつに数えられます。築地グルメというと、海鮮系の店を連想する方が多いでしょうが、築地で働く人たちもこのエリアで食事をすることもあり、彼らはむしろ、日頃仕事で取り扱っている海鮮以外の食事を求める傾向が強いようです。洋食や定食屋、中華料理店なども多く、そのどれもが築地のプロたちを納得させるような、カジュアルながらも質の高い多様な食が提供されています。

今回、取材で訪れた『管商店』。場外の築地横丁という通りにある
今回、取材で訪れた『管商店』。築地本願寺の細い路地の中にある

 シュウマイも例外でなく、築地の中華料理屋や総菜屋などでは、看板メニューにシュウマイがある店が、私が知る限りでは4軒あり、そのどれもが店の個性を出しながら、納得の味わいのシュウマイを作り上げています。

 今回紹介する「菅商店」は、築地のシュウマイを代表する、テイクアウト専門の惣菜店。餃子や中華まんなど中華系惣菜を中心に取り揃えていますが、看板メニューはやはりシュウマイ。店前のショーケースには4種のシュウマイがずらりと並び、シュウマイ名店らしい存在感を醸し出しています。

写真手前が、「黒豚シュウマイ」1個110円、奥が「大山鶏シュウマイ」1個90円
写真手前が、「黒豚シュウマイ」1個110円、奥が「大山鶏シュウマイ」1個90円

 4種類の内訳は、「ポークシュウマイ」、「ジャンボシュウマイ」、「黒豚シュウマイ」、「大山鶏シュウマイ」。特に人気は「大山鶏シュウマイ」だそうですが、シュウマイを求める常連のほとんどがお気に入りの一品を選び、いつも購入していくそうです。

写真左「ジャンボシュウマイ」8個入734円、右「ポークシュウマイ」15個入777円
写真左「ジャンボシュウマイ」8個入734円、右「ポークシュウマイ」15個入777円

 作り方は、4種とも大きな違いはありません。それぞれの肉をほどよく練りあげ、刻んだ玉ねぎとあわせ、塩胡椒を中心にシンプルな味付けで、中身を仕上げます。そして冷蔵庫で少し寝かせ、一つ一つ形成し、冷凍して1日寝かせます。こうすることで、形がしっかりするそうです。そして冷凍したままでセイロで蒸しあげ、少し冷まして完成。ほどよく落ち着いた温度感だからこそ、シュウマイのしっかりとした食感も感じられるといいます。

「ジャンボシューマイ」のタネ
「ジャンボシューマイ」のタネ

 ただ、その作り方も、素材によって練り方や味付けを微調整するといいます。そしてその素材は、すべて築地産。豚肉は「黒豚シュウマイ」で用いる鹿児島産アベル黒豚をはじめ、築地内の多くの店に食肉を卸す「近江屋商店」から仕入れ、大山鶏は築地の鶏卸しの人気店「鳥藤」のものを使います。

店頭の大きな蒸し器で作られる「ポークシュウマイ」
店頭の大きな蒸し器で作られる「ポークシュウマイ」

「ポークシュウマイ」と「ジャンボシュウマイ」の中身の構成は、基本は同じ。2種の引き具合の豚肉を混ぜ合わせ、玉ねぎと調味料とあわせます。ただし、ジャンボは若干玉ねぎを多めにし、甘味を強めています。「黒豚シュウマイ」は、2種の豚を配合し、オイスターソースを隠し味に入れるのがポイント。「大山鶏シュウマイ」は、鳥取産大山鶏100%。そこに軟骨も混ぜ、食感のアクセントを加えています。

タイミングが合えば、出来立てをいただける
タイミングが合えば、出来立てをいただける

 もとは菅商店は、シュウマイに限らず、惣菜の製造は行っていなかったそうです。惣菜のメーカーから商品を買い入れ、販売していた卸し業が本業でした。それが、今から20年ほど前、シュウマイなどを製造していた工場が閉鎖することになりました。当時、人気の出てきていたシュウマイは継続したいと希望したところ、工場側からレシピが提供されることになり、自社内で製造することにしました。そして2002年、菅商店オリジナルのシュウマイが完成。その後、名称変更などを経ながら「ポークシュウマイ」「ジャンボシュウマイ」となり、「黒豚シュウマイ」が加わり、5年前にテレビ番組の企画で「大山鶏シュウマイ」が誕生しました。

毎日、1000個以上ものシュウマイを作るという菅宏行社長
毎日、1000個以上ものシュウマイを作るという菅宏行社長

 取材当日も「ジャンボシュウマイ」の仕込みをしていた、菅商店の菅宏行社長は、「作り方は工場のものをアレンジしただけ」と謙遜しますが、何気なくこなす工程ひとつひとつに、おいしさの理由が隠されていました。練り具合は、練りすぎだと粘土が余計に出てしまうそうで、その加減はいつも手の感触で確かめながら、決めているといいます。シュウマイの食材ごとにはもちろん、気候などの影響もあり、その感覚はマニュアルにはできないと、菅さんは言い切ります。

 こうして出来上がったシュウマイ4種を食べ比べると、個人的には、豚の肉感がしっかり味わえる「黒豚シュウマイ」が好みのように感じられました。が、たまねぎの甘みがじんわりと広がり、ジャンボと言いながらいくつでも食べられそうな「ジャンボシュウマイ」も捨てがたく、同じようで「ポークシュウマイ」は、豚肉らしい香りと甘みがほどよく感じられ、昔ながらのシュウマイの良さを感じられる、クラシカルな味わいに心惹かれます。

 そして「大山鷄シュウマイ」は、あっさりとしながらも鶏の甘みが感じられ、そのなかで心地よい軟骨の歯ごたえがあり、他の3つのシュウマイとは全く別物ながら、新たなシュウマイの美味しさを確立しています。

4つのシュウマイを食べ比べる筆者
4つのシュウマイを食べ比べる筆者

 常連さんは、定番の一品があると言いますが、私にはそのひとつは決められませんでした。すべてのシュウマイがこの店の看板シュウマイと言えます。まとめ買いが金額的にはお得ですが、店頭では、ほかのシュウマイを1個ずつ購入することもできるので、初めての人は、まずはすべての種類を試して欲しいです。

●SHOP INFO

菅商店

店名:菅商店

住:東京都中央区築地4-10-2
TEL:03-3541-9941
営:6:00~15:00
休:日祝日、市場休日
http://www.tsukiji.or.jp/search/shoplist/cat-c/cat-11/164.html

●著者プロフィール

シュウマイ潤

本名種藤潤。教育大学卒業後、フリーランスのライター、エディター、ウェブプランナーとして活動を開始し、現在はオーガニックと食を中心とした幅広いジャンルで取材執筆を行う。焼売に関しては2015年頃から着目し、インスタグラム「焼売生活」で全国各地の焼売を実食し発信。2018年4月現在で200種類を制覇した。2018年5月にTBS「マツコの知らない世界」でシュウマイの知らない世界を紹介している。