シュウマイ潤の焼売探訪。手間をかけるほど美味しくなる『手打ちそば小菅』の和風シュウマイ

和食の技術で作られる秀逸な和風シュウマイ

 このお店で出されるシュウマイは、「和風かにしゅうまい」。他にも、天ぷら、鴨ロースなど、蕎麦屋の定番つまみに加え、「いちじくごま味噌がけ」、「汲み上げ豆腐」と、他にはない創意工夫を凝らした小料理もあり、蕎麦専門店ながら和食料理屋としての強い姿勢も感じられます。実際、店主もそばと一緒にお酒と料理も味わってほしい、と語っています。

 「和風かにしゅうまい」は、2個で800円。私の知る限り、1個あたり100円以上になると高級な部類に入りますが、このシュウマイは1個400円。かなり高価です。

 ですが、幅4センチ、高さ1センチほどの円筒状に平たく整えられた様は、従来のシュウマイよりも若干大きめで、刻まれた皮で丁寧に包まれた外観は、上品な佇まい。そして、絶妙な火加減で蒸されているためか、かみしめた瞬間、細かく刻まれた食材がほろりとほぐれ、なんとも心地よい食感。その後、口の中に入ると、かにをはじめ、中の食材の個性が一つひとつ際立ちます。

 食後感としては、食べ応えもありながら全体としてあっさりとした印象で、食材たちの余韻が程良く残り、もう一口食べたくなります。ただそれでいて、その後に締めくくりで食べるであろう、主役の蕎麦の繊細な味わいを邪魔するほど、味の主張もしない。蕎麦屋のつまみに最適な、程よい存在感を醸し出していました。

 そう、私を含む庶民にはあまり縁のない、祝い事や法事などでしか味わえない、高級割烹のコースに出てきそうな、気品あふれる逸品と言えます。この日は諸事情あり、一緒にお酒はいただきませんでしたが、特に日本酒や焼酎などの和酒の味も引き立ててくれる気がします。もちろんビール、白ワインやシャンパンとも相性がよさそうです。