東京から日帰りで楽しめる! 秩父名物「わらじかつ」の正しい食べ方とは?

カツとご飯の接地面が美味しすぎる

 巨大なカツを1枚、蓋に移動すると、“両手にカツ状態”になり、目の前は一面茶色です。そして、カツ1切れをひと口。おお、ふわっと柔らかくて、甘い!

 揚げたてのカリッとしたカツを甘辛いタレをくぐらせているのでしょう。タレを吸った衣は熱々ですが、しっとり。想像していたよりも厚みがあり、1cmくらいはあるでしょうか。だから、ウィーンの“あれ”とは違ってフワフワなんです。

 そして、何よりも注目して欲しいのは、かつとご飯の接地面。私が「トンカツ定食よりかつ丼の方が好き」な理由は、この “接地面”なんです。甘辛いタレと脂の甘みが渾然一体となって、ご飯に触れた、あの部分。特にわらじかつは巨大なので、接地面が多いのも嬉しい限り!

 途中で卓上にあるスパイスを振りかけてみると、山椒と唐辛子が入った“辛シビ系”で、絶妙なアクセントになり、ご飯が進みます。こうして1枚目の「わらじかつ丼」はあっという間に食べ終わってしまったのです。

蓋の上のわらじかつの行方

 忘れてはいけません。まだ右横の蓋にいるんですね、もう1枚のわらじかつが。切れ目が入っていない無骨な姿で、私をじっと待っているんです。

 しかし、丼にご飯はありません。ここで自問自答しました。切れ目ないこのわらじかつを一口でも食べたら、最後まで食べなくてはなりません。もし、ご飯をくださいと頼めば、私はもう1度、このわらじかつ丼体験を最初から繰り返すことになります。私は決して大食いではないし、これまでずっと女で生きてきました。そして白状すると、かなりお腹いっぱいです。

 と、しばらく蓋の上のカツを見つめていたら、お店の方が「お持ち帰りしますか?」と声をかけてくださったのです。渡りに船。

美味しいかつは冷えても旨い

 テイクアウト用のプラケースをいただき、蓋の上のカツを移動させました。申し訳ない気持ちもありましたが、立派な“秩父土産”にすることができたわけです。

 ところが、これで終わりではありません。『安田屋』さんのわらじかつの“おみや”は、偉大だったんです。

 翌日、冷えた「わらじかつ」を、熱々のご飯にのせて、上からお茶をかけていただいてみたのです。そう、名店「とんかつ 新宿 すずや」の真似です。これが大当たり! めちゃくちゃ美味しいんですよ。

 というわけで、女性の皆さんも欲張って「2枚入り」を注文してみてください。美味しいかつは持って帰ればいいんです!

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

安田屋日野田店

店名:安田屋 日野田店

住:埼玉県秩父市日野田町1-6-9
TEL:0494-24-3188
営:11:30~17:00(16:30LO)
休:月