群馬の地元パン屋が超ハイレベル! ふらりと立ち寄った『やぎぱん』の天然酵母パンが美味しすぎた

乳製品を使ってないのに美味しいマフィン

「マフィン」180円
「マフィン」180円

 まず、ルックスから気になる筒状の「マフィン」です。目測ですが、高さ6cmくらいはあるでしょうか。

「これはバター、卵、牛乳を使っていない生地で作ってるんですよ」とヤギさん。マフィンといえば、甘くて、バターたっぷりのカップケーキ系や、朝食で食べるような塩味の効いたイングリッシュマフィンなどがありますが、どちらも乳製品を使うはず。

 これはすぐに味見をしなくては。その場でいただくことにしました。持ってみると、外側はパリッとしていますが、食べなくてもフワフワ具合がわかります。パクっと齧ってみると、ほんのりとした甘み。これは砂糖の甘さというより小麦粉の甘さでしょうか。こんなにフカフカの生地のマフィンを食べたことがありません。これで“エッグベネディクト”を作りたい…という衝動に駆られ、思わず残っていたマフィンをすべて買い占めました。

 ヤギさんにもう少しお話を伺ってみると、「うち(のパン)は天然酵母の種に、群馬県産の小麦粉を主に使って、溶岩窯で焼いています。マフィンは、そこに菜種油を使っています。ふかふかしているのは、ハード系のパンより発酵時間を少し長めにとっているからです。食パンと同じ生地なんですよ」

 ショーケースに食パン(560円)が1本だけ残っていたので、これも迷わず購入! 店の奥には広い厨房が見えます。他にお客さんもいなかったので、お願いしてちょっと見せてもらいました。

三段式の溶岩窯
三段式の溶岩窯

 厨房には“でん”と大きな溶岩窯がありました。溶岩窯は石窯の一種で、オーブンの内側が溶岩プレートになっているそうです。「通常のオーブンと違って、遠赤外線の発生量が豊富で、その遠赤外線効果で、パンの中まで早く火が通るので、外側はパリッと中は水分を残してふっくらと焼き上がる」とヤギさん。

 さらに天然酵母を見せてもらいました。匂いを嗅ぐと、昔ながらの優しいパンの濃厚な香りがしてきます。こちらは、3年半前のオープン時にレーズンから作った天然酵母を種に、継ぎ足し継ぎ足し、作り続けているそうです。

レーズンを種にした天然酵母
レーズンを種にした天然酵母
「食パン」560円もしっかりゲット
「食パン」560円もしっかりゲット

 お話を伺っていると、マフィンや食パンに限らず、こちらでは、ほとんどの“パン生地”は卵やバター、牛乳など乳製品を使わず、さらにトランス脂肪酸のマーガリンやショートニングも不使用だそうです。理由を尋ねると、

「どうしても乳製品がアレルギーなどで食べられなかったり、苦手だったりする方がいらっしゃいます。そういう方たちにも、パンを召し上がって欲しいと思って。乳製品を使わなくても、美味しいパンはいくらでも作れますから。また子どもを連れたお母さんたちもたくさん買いに来てくれますので、健康面にも気を配りたくて……」

 そういえば、群馬といえば、名物のうどんや焼きまんじゅうなど、小麦粉が欠かせない郷土料理が多い県。調べてみると、県産の小麦粉は、うどんだけでなく、パンに使われることも多いようで、県内の学校の給食では「ぐんまぱん」という県産小麦粉100%のパンが出ることもあるとか。また、群馬県内は実はレベルの高いパン屋さんがたくさんあるようで、雑誌で特集も組まれているそうです。知りませんでした!

子どもたちも大好きな「くりぃむぱん」160円。手作りのカスタードが、とろとろのクリーム状で入っています
子どもたちも大好きな「くりぃむぱん」160円。手作りのカスタードが、とろとろのクリーム状で入っています