冷菜から羊の丸焼きまで。24時間“羊分補給”OKな万能レストランとは?

羊の丸焼きができる店は実はほとんどない

 今を遡ること4年ほど前、「いつかは羊の丸焼きでイベントを」と考えていた私に、「羊の丸焼きできますよ」と快諾してくれたお店がこちらの『中国茶房8』さんなのです。

 ちなみに、丸焼きというと「焚き火の上に羊をまるごと載せて取っ手をぐるぐる回して焼く」的なイメージがありますが、そのやり方だと時間がかかるうえ、意外と美味しく焼けないため、基本は窯で焼くんです。しかし、そこまで大きな窯を持つ店は日本には滅多にありません。しかし、北京ダックが売りのこちらのお店は、ダック用の大きな窯をお持ちで、それで丸焼きができるんです。

これが羊の丸焼き(2万9,800円)!子羊の半身なので10kg弱。事前予約が必要です
これが羊の丸焼き(2万9,800円)!子羊の半身なので10kg弱。事前予約が必要です
丸焼きはその場でさばいてくれます。この捌き方も見もの
丸焼きはその場でさばいてくれます。この捌き方も見もの

 ちなみに、丸焼きの醍醐味は、「羊のすべての部位を味わえること」につきます。内臓と蹄と頭以外はすべて揃っているので、部位による微妙な脂のノリ具合や肉質の違いなどを堪能できるわけです。

 羊齧協会は、色々なイベントを通して『中国茶房8』さんとお付き合いがあるのですが、丸焼きがメニューにあるほぼ唯一のお店がこちらであり、羊に関わる様々なメニューが豊富なのも、こちらのお店の特徴。

 羊絡みのメニューをちょっと挙げるだけでも……

 農家羊肉湯、麻辣羊排、満口香羊肉、手抓羊排、蒙古焼肉、羊肉炒面片、葱爆羊肉、小茴香羊肉、新疆小炒肉、羊肉香辣寛面、〓全羊(コウ/〓は火偏に考)、紅悶羊排、草原風味小羊腿……

 と、驚きの数。これ、常設メニューなのですよ。このメニューの豊富さは、北京の名店『四川飯店』の料理長や、有名レストランのシェフを招聘して開発しているためで、お手軽で気取らない中華料理店の側面を持ちながら、しっかりとした本格中華料理を伝えるお店でもあるのです。

羊の内臓のスープ690円(写真は宴会時)
羊の内臓のスープ690円(写真は宴会時)
羊スペアリブスパイシー揚げ 1,280円
羊スペアリブスパイシー揚げ 1,280円

 やや脱線しますが、こちらの会社、もともとの出発点がデザイン事務所だったり、一等地に大箱、しかも価格帯お手頃なお店を出す戦略をとる、会社内に工事部があったりと、不思議がいっぱいなのですが、一つ確実に言えることは、羊愛に満ち溢れていて、しかもノリが良いということでしょうか。このノリの良さって、イベントをやる上で非常に大事で、ノリが悪いお店というのは、美味しくてもなんとなく物足りないんですよね。まあ、ここらへんは追々書いていけたらと思っています。

 もちろん、24時間いつでも羊分の補給ができるのも、ポイント高しです。意外と、24時間羊が食べれる店ってないんですよね。需要があまりないからかもしれませんが…。

独特のデザインも中国茶房8の特徴。
独特のデザインも中国茶房8の特徴。

中華とワイン! ワインの種類豊富な8グループ

中華料理店とは思えないワインコーナー(六本木店)
中華料理店とは思えないワインコーナー(六本木店)

 新宿店以外ですが、8はワインが豊富なことでも密かに有名。30~100種類の中華に合うワインが選べます。オーダー方法も独特で、ワインコーナーから選んで持ってきて、従業員の方に開栓してもらうシステム。おおらかな中国風のシステムですが、そのゆるさがまたこの店の雰囲気に合うのです。

(撮影:中国茶房8・菊池一弘)

●SHOP INFO

店名:中国茶房8 六本木本店

住:東京都港区西麻布3-2-13 コートアネックス六本木 2F
TEL:03-5414-5708
営:24時間営業
休:なし
※ご紹介したメニューは店舗により、ないものとあるものがあります

●著者プロフィール

取材・文/菊池一弘

羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親しんで育つ。北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼し羊好きの消費 者団体「羊齧協会」を結成。本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務などに携わっている。
http://hitujikajiri.com/