3店舗が入れ替わる!? まさかのシェアハウス型カレー店『とびうおKitchen』に潜入してきた!

スリランカカレーの「卵のホッダ」って何だ?

 店先には「スリランカカレー」と大書された黄色い旗がたなびいています。その日の昼は、スリランカカレー『とびうおKitchen』の営業日でした。

 スリランカカレーといえば、ここ数年大阪を中心に店が増えており、今、流行りの南インド料理のようなサラサラ系のカレーです。入店すると、店内にスパイスのいい香り充満しており、店主の鈴木章浩さんが1人で切り盛りしていました。シェア系ヤドカリの実態について聞きたいのは山々ですが、お腹が空いていたのでまずは腹ごしらえ。

店内はカウンター席とテーブル席に加え、こちらのソファー席があります

 ランチメニューは「ノンベジ」(950円)、「ベジ」(900円)、「卵のホッダ」(900円)の3種類のカレープレートです。ノンベジは肉入り、ベジが野菜のみのカレーというのはなんとなくわかりますが、「卵のホッダ」というのは皆目見当がつきません。そこで鈴木さんに聞いてみました。

「スリランカではカレーの汁の部分を“ホディ”と言い、ココナッツミルク(キリ)を使ったホディは“キリ・ホディ”と言います。そこに卵を入れたものが“卵のホッダ”です。日本の味噌汁をイメージするといいかもしれません」

 なるほど、茄子が入れば「茄子の味噌汁」のように「茄子のホッダ」となるわけですね。

見た目からなごみ系の「卵のホッダ」

「卵のホッダ」には、別皿でパリップ(豆のカレー)と副菜5品とバスマティライス、パンが付きます。珍しそうなのでそちらを注文していただいてみました。

副菜は、左より、キャベツとチャナ豆のポリヤル、豆乳マヨネーズのポテトサラダ、キャベツのマッルーン、ボルサンボル(ココナッツのふりかけ)、玉ねぎとトマトとピーマンのアチャール。食パン、小ライスにかかっているのが豆カレー
副菜は、左より、キャベツとチャナ豆のポリヤル、豆乳マヨネーズのポテトサラダ、キャベツのマッルーン、ボルサンボル(ココナッツのふりかけ)、玉ねぎとトマトとピーマンのアチャール。食パン、小ライスにかかっているのが豆カレー

 優しいクリームイエロー色の「卵のホッダ」をいただくと、辛い刺激的なカレーとはまったく違って、スパイシーですがマイルドなココナッツミルクをベースにしている穏やかな味。レモンの酸味がほのかに効いており、とても滋味深い味わいです。

「スリランカ料理では“モルディブ・フィッシュ”という日本の鰹節に似た食材を、炒め物、和え物、カレーなどの煮ものにたくさん使います。このホッダもモルディブ・フィッシュを使っていて、その旨みを味わう汁カレーなんですよ」と鈴木さん。

 言われてみれば、複数のスパイスとココナッツミルクの味だけではなく、深いお出汁のような旨みを感じます。

鈴木さんに「モルディブ・フィッシュ」を見せていただきました。本当に鰹節と同じ香りがします
鈴木さんに「モルディブ・フィッシュ」を見せていただきました。本当に鰹節と同じ香りがします

 卵のホッダの作り方を聞くと、マスタードや黒胡椒、トゥナパハ(カレーパウダー)、ターメリックなどのスパイスとモルディブ・フィッシュをココナッツミルクと水で煮て作る汁カレー(キリ・ホディ)を作り、そこにゆで卵を入れたものだそう。

 別皿の上のバスマティライスと豆のカレーも一口いただいてみると、こちらもココナッツミルクをふんだんに使ってあり、レンズ豆のコクとともに優しい味がします。

 スリランカカレーは、皿の上の副菜とカレーを混ぜて食べるのが美味しい食べ方だと聞いたことがあります。そこで、混ぜてみると、ココナッツミルクのマイルドな味の中で、食材の持つ苦味や甘味、酸味などがアクセントとなって、穏やかな味に少し変化が生まれます。これが楽しい。また、カレーはライスにかけても美味しいのですが、パンとの相性も非常に良く、これはカレーに浸す用のパンなのだそうです。スリランカでは、カレー×パンも一般的な組み合わせとのこと。

「カレーも副菜も油をほとんど使っていないので全体的にさらっとしているんです。お肉入りのノンベジの方も、同じく油っぽさがないので、よかったらそちらもどうですか」と言われました。ぜひ!