サーファー店主のつけ蕎麦バル『ムラマサ』の十割蕎麦の香りと甘みがスゴい!

蕎麦とサーフィンの深い関係

「カレー十割つけ蕎麦」ランチはサラダ、一口ご飯、コーヒーがついて950円
「カレー十割つけ蕎麦」ランチはサラダ、一口ご飯、コーヒーがついて950円

 店主の武良昌則(ムラ・マサノリ)さんにオススメを聞くと、1番人気は「カレー十割つけ蕎麦です」と言うので、それを注文してみました。

 登場したお蕎麦は、美しい蕎麦色で、みずみずしく、目を凝らしてみると繊細な蕎麦の粒々が見えます。そして、フワッと蕎麦のいい香り。蕎麦だけを口にすると、爽やかな喉越しです。お店で毎朝、蕎麦粉を打って製麺しているということで、フレッシュさが際立っています。

 しかし、カレー味のスープにつけて、蕎麦の香りは大丈夫なのかな……という一抹の不安も。そんな筆者の心を見透かしたように「カレーはとてもクリーミーでマイルドな味ですよ」と武良さん。そこで、カレーをひと口。まろやかなミルク風味でスパイスはほんのりと香る程度。お蕎麦とカレースープのとろみが絡まっても、決して蕎麦の香りを邪魔していません。

カレー十割つけ蕎麦のつけ汁には、長ネギがたくさん入っています。ごくごく飲めるスープ
カレー十割つけ蕎麦のつけ汁には、長ネギがたくさん入っています。ごくごく飲めるスープ

 もう1つのオススメは、「塩十割つけ蕎麦」。いただくと、とろみのついた魚介系のお出汁と塩で、こちらもマイルドな優しい味です。どちらのつけ蕎麦も、常陸秋蕎麦の香り高さを感じながら、蕎麦本来の甘みをしみじみ味わうことができるメニュー。高級系にも負けないくらい、お蕎麦を知り尽くしている構成だなという印象を受けました。

「塩十割つけ蕎麦」のつけ汁は、麩と焼きネギが入っている
「塩十割つけ蕎麦」のつけ汁は、麩と焼きネギが入っている

 ところで、店の雰囲気といい、「常陸秋蕎麦×カレー」の取り合わせといい、どことなく軽やかで、あまりお蕎麦屋さんらしくない空気を感じます。そこで、武良さんにお話を伺ってみると「実は私はサーフィンが趣味でして……」と言うのです。

 蕎麦とサーフィン、何の関係が? と思うかもしれませんが、「常陸秋蕎麦」の産地である茨城県は、サーファーにとって絶好のサーフスポットがあることでも知られるエリア。

「趣味のサーフィンをしに茨城に行っているうちに、お蕎麦を食べる機会が増え、その美味しさにハマりました。以前も飲食店に勤めていたのですが、趣味で蕎麦ばかりを食べ歩き、自分でもそば打ちをしているうちに、やっぱり茨城の“常陸秋蕎麦”は最高だなと思って、自分の店を出してしまいました(笑)」

 十割蕎麦というと、風味は強いものの、つなぎがないため、ぷつぷつと切れる、ザラザラしている、というイメージが強いですが、武良さん曰く、
「常陸秋蕎麦はつなぎを入れなくても繋がりやすく(切れにくく)、風味が強いんです。あえて手打ちではなく、機械打ちにしているので、ボソボソしていなくて喉越し良いお蕎麦に仕上げています。色んなつけ汁を試した結果、この常陸秋蕎麦の力強い香りや甘みには、ベーシックな醤油味だけでなく、カジュアルな和洋折衷のスープがよく似合う。こうした楽しい食べ方なら、若い人からご年配まで楽しんでいただけるなと思って、誰もが入りやすいカジュアルなバル風蕎麦屋にしたんですよ」

 と、ここでやっと気づきました。こちらのお店、じつは夜、「蕎麦バル」になるんです。北海道産の「ひこま豚」の生ベーコンや生ハム、グリル、生姜焼き、角煮や豆腐チャンプルなんて、肉を中心にしたお料理がたくさん! お酒もワイン、日本酒、焼酎はもちろん、泡盛やカクテルまで種類が豊富。

夜のメニューの一例
夜のメニューの一例

「夜にご来店する方は、〆にお蕎麦を食べる方もいらっしゃいますが、お酒と料理を楽しまれて、お蕎麦まで辿り着かない方もけっこういらっしゃいますね(笑)」

 よく考えたら、こんな風に気軽にお蕎麦を楽しむことができるお店は、案外、少ないかもしれませんね。ぜひ、昼も夜も、武良さんの渾身のお蕎麦とお肉料理を存分に楽しんでみてはいかが?

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

十割つけ蕎麦 ムラマサ

店名:十割つけ蕎麦 ムラマサ

住:東京都文京区根津1-1-19
TEL:03-5834-7719
営:11:30~15:00 17:30~22:30
休:水
http://muramasa-soba.com/