通称「あんデラ」に感動！
お店は満員だったので時間がかかるかと思ったけど、厨房のお兄さんがテキパキと仕事をこなしていて、ボクらのラーメンは約10分で着丼した。
良太：想像以上のすごいボリュームだね。鶏のもも肉を1枚全部使った唐揚げだね。それを食べやすくカットして、全部もやしの上に積み上げられてるよ。
周：お、いいな。オレは「全部のせ」だけど唐揚げは1片しかない……
良太：この唐揚げ、サクサクしていてアッツアツ。すごく美味しいよ！ しかも、その下のもやしもシャッキシャキで旨い！ それに焼きナスも入っている！これがジューシーだね。いやあ、具材の量がものすごく多くてなかなか麺やスープまでなかなかたどり着かないよ（笑）。周はどう？
嬉しい悲鳴を上げている良太の丼を横目に見ながらボクは少々、後悔していた。「学生拉麺＋全部のせ」は唐揚げが1個だし、焼きナスはない。しかも半熟卵が半個、海苔2枚。確かにもやしの量はたっぷりだけど、良太のようにウキウキするほどの具材の量では全くない。
周：ところでスープはとんこつ醤油だけど、かなり濃厚だね。オレは味を「鷹の爪」にしたからウマ辛になってるよ。しかもニンニクがたっぷり入っていてガツンと効いてくるのがいいね。
良太：俺のもニンニクたっぷりだよ。しかも「あんかけDX」だから横にオレンジ色の“甘辛いあん”が入っているよ。食べ進むうちに、このあんがとんこつ醤油のスープにどんどん溶け込んで濃厚な味になっていくんだ。1度に味の変化を楽しめるスープだね。
珍しく、良太が美味しさに興奮している。「あんかけDX」の方にしておけば良かった……。そこでボクも味の変化を楽しもうと、「特製 鷹の爪パウダー」を入れてみることにした。そういえば、姉は辛いもの好きで、唐辛子などをガンガン入れるクチだ。
特製唐辛子パウダーを1杯入れてみた。でも味が変わらなかったので3杯入れてみた。すると、少し辛くなったけど、それよりも旨味が増してきた気がする。このパウダーはすごい。特製というだけある！ そこであと2杯。ヤケクソではない。本当に美味しいのだ。
良太：そんなに入れて大丈夫？ 周のスープ、真っ赤だよ。
周：このパウダーの旨味の威力はすごいよ。良太も入れる？
良太：いやいや、俺はこの味で十分美味しいから（笑）
言われてみれば、ボクのスープはトマトソースくらい赤くなっていた。でも、麺がもっちりとした太麺で、この甘辛のスープに絡み、具が良太より少ないことを忘れてスープまで全部飲み干して完食！ 姉の辛いもの好きの理由が少し理解できた。そしてボクたちは店を出た。
周：美味しかったね。でも、オレ、次来るときは学割なんてケチくさい事をやめて、良太の食べた「あんかけDX」にするよ。
良太：「あんかけDX」980円は、通称「あんデラ」って言われている有名なラーメンみたいだよ。そして、「学生DX」900円は実は同じラーメンで、通称「学デラ」って言うみたい。学生割引のポイントは、「あんデラ」にさらにご飯が付いて900円という点らしいよ。
周：ええ！？ じゃあ、オレは「学デラ」にすればよかったんだ。そうだ、姉ちゃんのメールにも「学生DX」って書いてあったじゃん。やっぱりオーダーシステムが複雑すぎて、オロオロしていたから「デラックス」の内容を理解してなかった。
良太：実は表の看板に「学デラ」のこと、書いてあったんだよ。オレ、見ていたんだけど、「全部のせ」に周が期待する気持ちもわかる。だから、つい言うのを忘れていてた。ごめん。
周：あはは。気にしなくていいよ（笑）。今度来るときは、学生証と「学デラ」を忘れないようにすればいいね。
ボクは、次に『表裏』に良太と来るときには、高田馬場に通う大学生になっている、なんてことをちょっと想像してみた。しかし、その前に、ボクらはこの春から高校生だ。まずは、忘れ物をしないようにしよう。そう良太と約束して、ボクらの日曜ランチは終了した。
（イラスト◎うえむらのぶこ 構成◎土原亜子）
●SHOP INFO
店名：うまからラーメン 表裏 高田馬場店
住：東京都新宿区高田馬場2-14-27
TEL：03-6205-6888
営：11:00～22:30LO
休：無休
