常識を覆す美味しさ!スープカレーの名店『侍.』が作った「スパイスラーメン」とは?

極旨のスパイススープだから1度に2度美味しい

「『路地裏カリィ 侍.』は、スープにこだわりを持ったスープカレーを柱としてやっていますが、このスープを別の新しい形態でお客さんに楽しんでもらえたら、ということで、新しいラーメンに取り組むことになったんです」と佐藤さん。

 ただし、最初から“カレー+ラーメン”の組み合わせを目指したわけではない。

「“カレー+ラーメン”は、一般的にあまり受け入れられていない現実があります。その足し算の発想ではなく、スープとスパイスで味わう“スパイスラーメン”という、全く新しいカテゴリのラーメンを作ることを目指したんです」

 『侍.』で作るスープカレー用のスープは、たっぷりの野菜を使ったブイヨンに、豚骨、親鶏、昆布や鰹節などの動物系の素材を入れて炊き上げ、さらに、完熟トマト、飴色玉ネギの酸味、甘味を加えてベースを完成させる。このスープがスパイスラーメンにも入るのだが、それだけではない。

『侍.』のスープカレーの素となるスープは、野菜がたっぷり溶け込んでいるのが特徴。なんと、1杯分に100g分の野菜が濃縮されており、そのスープがスパイスラーメンにも使われている
『侍.』のスープカレーの素となるスープは、野菜がたっぷり溶け込んでいるのが特徴。なんと、1杯分に100g分の野菜が濃縮されており、そのスープがスパイスラーメンにも使われている

「ラーメンのためだけに作ったオリジナルのスープと、さらにオリジナルスパイスを加えて、初めてスパイスラーメンのスープができあがるのです」

 さらに特徴的なのが、カレーに使う代表的なスパイスであるカルダモンやターメリック、ウコンなどを入れていないことだ。

「その代わり、クミン、コリアンダー、クローブや山椒などの9種類のスパイスで、何度も試作を繰り返して、無国籍感ある不思議な香りの配合のスパイスを作りました」

 ところで、スープカレーとラーメンで決定的に違うのは、ライスと麺の違いだろう。ラーメンの場合は最初から麺が入っているし、ラーメン文化独特のチャーシューも重要だ。そのすべてが丼に入った状態で、どうバランスを整えていったのだろうか?

素揚げしたゴボウがとても美味
素揚げしたゴボウがとても美味

「スープも麺も、チャーシューなどの具材がすべて1つの丼に入っても、飽きがこないように色々と工夫を凝らしたんです。チャーシューの角煮も、このスパイスラーメンに合うようにつくっていますし、カシューナッツやパプリカ、キクラゲ、ゆで卵、素揚げしたゴボウなど、具沢山にすることで、食感の違いも楽しんでもらえるようにこだわっています。また、レモンを途中で絞れば、一瞬にして味に変化が訪れて、最後まですっきりと食べられますよ」

小さな店内はカウンター席が中心。
小さな店内はカウンター席が中心。

 確かに、ベースのスープの旨味の濃厚さと、爽やかに香るスパイス。そこに、普通ならラーメンには入らない面白い具材たちがわんさか。やっぱりありそうでない“唯一無二”のラーメンで、いざ試食させてもらっても、楽しくて飽きがこない。

「面白いのは、ほとんどのお客様がライスを注文するんです。麺を食べ終えたら、スープカレーのようにご飯を浸して召し上がっていますね」

 確かにそうだ。ライスが確実に欲しくなる。それだけスープがあっさりとしていて女性でもサラサラと食べられるのである。1度で2度美味しい、この新しい「スパイスラーメン」、ぜひ食べてみてほしい。

「スパイスラーメン」の他に、「スパイスまぜそば」などもある。辛さも調節可能
「スパイスラーメン」の他に、「スパイスまぜそば」などもある。辛さも調節可能

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

スパイスラーメン 点と線

店名:スパイスラーメン 点と線

住:東京都世田谷区北沢2丁目14-5-2F
TEL:03-6805-4012
営:11:30~15:00(LO)、17:30~22:00(LO)
休:なし