【自然派ワイン最前線】「Le cabaret」坪田泰弘氏×「wine stand waltz」大山恭弘氏【仏・ヴァンナチュールの旅】

世界中のワイン関係者が集結したロワールのサロン

ロワールで開催されたサロン「ディーヴ・ブティーユ」にて、フィリップ・ジャンボン氏とともに

ロワールで開催されたサロン「ディーヴ・ブティーユ」にて、フィリップ・ジャンボン氏とともに

編集部 今回の旅の目的はロワール地方のアンジュで開催された、サロンに行くことと伺いました。最近、サロンってよく耳にしますが、どんなイベントなのでしょう?

坪田 ヴァンナチュールの生産者が一同に集って樽から持ってきた試飲用ワインを提供するという“世界中の飲食関係者やワインジャーナリストに向けた大試飲会”といえばいいのかな。商談の場でもあって、交流の場でもあるというか。

大山 ぼくらが行った「アノニム」や「ディーヴ・ブティーユ」のほかにも、毎年フランス各地で行われていて、それぞれのサロンには同じ想いを共有した造り手が集まってくるんですよ。

坪田 「亜硫酸塩(酸化防止剤)ゼロ」とか「ビオディナミ」とか、ワイン造りに対する考え方、とらえ方の違いでサロンの個性も変わるんだよね。考え方の違いで敵対しているサロンもあるというのもフランスらしい。

大山 今回は「アノニム」と「ディーヴ・ブティーユ」という二つのサロンに行って、リリース直前のワイン(主に2016年)を試飲するのが目的。「ディーヴ・ブティーユ」はロワールなどフランスの造り手はもちろん、スペインやチリ、オーストラリアなど世界各国のヴァンナチュールの造り手が参加していて、規模が凄かった。一日で見て回るのはとてもじゃないけど無理!

坪田 ホントに朝から夕方までワイン漬けで。僕たちはインポーターじゃないから全部試飲してそこでワインを決めなきゃというのもないので、店で扱っている好きな造り手や見たこともない造り手に絞って試飲したんです。

ロワールのサロン「アノニム」にて。「ヴァンクール」(インポーター)の池谷社長とパチリ

ロワールのサロン「アノニム」にて。「ヴァンクール」(インポーター)の池谷社長とパチリ

編集部 発見はありました?

坪田 僕は「ディーブ・ブティーユ」に何度か行ったことがあったので、「アノニム」にとても興味がありました。ロワールのババスやジャン・フランソワ・シェネとかが中心にやっているのかな。本当の意味でのヴァンナチュールの造り手ばかりというか、亜硫酸塩をほぼ使わない、あるいは極限まで使わない、そんな攻めた造り手だけが集まっていて刺激を受けましたね。

大山 「アノニム」は面白かったけど、全体として収穫といえるほどのものは正直あまりなかったかも……。想定の範囲内、予想通りというか。

坪田 とにかく人が多くて目が回ったよね。フランス国内、アメリカ、イタリア、スペイン、北欧……世界中からインポーターやジャーナリスト、お店関係の人が相当来てたでしょ。でも大山さん、楽しそうでしたよ。

大山 ああいうイベントは自分たちの大好きな造り手と直接話ができるのがうれしい。自分にとってスターともいえる人が目の前にいて、直接ワインを注いでくれるし。

坪田 そうそう、何か聞きたかったらすぐ質問できるのもいい。「フェスティヴァン」(日本で毎年開催されているヴァンナチュールの祭典)に集まる人も、きっとそういう楽しみ方をしているんでしょうね。

大山 でも、「アノニム」に参加していた南仏の造り手、シルヴァン・ソーは印象に残りました。白ワインだけの出品だったけど、もうニンマリしてしまうニュアンスで。ひと昔前のクルトワの感覚に近かった。