芯からあったまる!人気店の【絶品スープ&煮込み】レシピ|イタリア編

人気店に教わる、欧州の絶品スープ&煮込み【2】イタリア編
食楽web

イタリアで4年半の修業を積んだ「mescita」鈴木美樹さんに教わる料理は、定番の2品とミラノで出合った簡単な1品。今夜はイタリアンで決まり!

素朴ながら、食卓にイタリアの温かさを運ぶ味

 気取ることなく、素材の美味しさをガッツリと楽しませてくれるのが鈴木さんの料理。今回教えてもらうスープと煮込みも、見た目は素朴ながら、素材の旨みを十分に引き出し、二度、三度と食べたくなるという美味しさのものばかり。しかも簡単なのが嬉しい。

「具材はひよこ豆とジャガイモだけというシンプルさながら、クセになる優しい味わいの〈プーリアのスープ〉。イタリアのスープの定番〈ミネストローネ〉。そして、味付けはビネガーと塩だけで、奥深い美味しさが楽しめるホロホロ鳥の煮込み〈ホロホロ鳥のカルピオーネ〉を作りたいと思います」(鈴木さん 以下同)

 まずはプーリアのスープから。

「プーリア州でよく食べられているスープです。美味しく作るポイントは、味のアクセントとして、最後にニンニクの風味をつけること。それでグッと味わいが増すんです。もうひとつ、市販の缶詰のひよこ豆を使う場合は、一度水洗いをして缶詰の匂いを消してからにして下さい」

 ただ野菜を煮込むだけと思われがちな〈ミネストローネ〉。しかし、「フリウリの修業先のまかないでいただいたのは、いかに野菜の美味しさを引き出すか、しっかりした理論があるものでした。野菜は冷たい状態からフツフツと煮え始める間の時間で旨みがスープに出る。そこで火の通りづらい野菜から煮ていくんですが、次の野菜を加える前に必ず冷たいスープを足して、温度を下げる作業を繰り返しながら作るという、結構驚かされたレシピです」

 最後はミラノで食した冷めても美味しいホロホロ鳥の煮込み。

「野菜を炒め、そこに軽く焼き色をつけたほろほろ鳥一羽と、ワインビネガー、水を加えて煮込むだけ。とにくかく簡単。ポイントはビネガーの加減くらい。ふつうの鶏でもバターを加え、旨みを増せば美味しくできますよ」

温かく、やさしく、食べ応えのあるスープ ひよこ豆とジャガイモのプーリアのスープ

ニンニクの香りがふわりと漂い、ひよこ豆とジャガイモの食感が楽しいひと皿。熱々で食べたい。市販の鶏スープは味がやや濃くできているので薄めにして使うのがコツ。
ニンニクの香りがふわりと漂い、ひよこ豆とジャガイモの食感が楽しいひと皿。熱々で食べたい。市販の鶏スープは味がやや濃くできているので薄めにして使うのがコツ。

材料(4人分)

・乾燥ひよこ豆……2カップ
・ジャガイモ……小2個
・鶏のブロード……300ml(薄めに溶いた顆粒の鶏スープでも可)
・塩……2つまみ
・トマトソース……大さじ2(トマト缶または煮込み用トマト1/4個でも可)
・イタリアンパセリ……1茎
・ニンニク(みじん)……小2片
・EXVオリーブオイル……小さじ1と1/2

作り方

1.ひよこ豆は豆の約3倍量の水(ミネラルウォーターが理想的)に一晩浸して戻す。鍋に新しい水を入れて沸騰させ、塩(材料外)を加え、戻したひよこ豆を茹でておく。

2.ジャガイモは皮をむき1.5cm程度の角切りにする。

3.鍋にひよこ豆とジャガイモ、鶏のブロード、塩2つまみを入れて中火にかける。

4.ジャガイモに火が通ったら(10~12分が目安)、トマトソースを加えて軽く混ぜ合わせる。

5.鍋の火を止め、イタリアンパセリの葉をちぎって加える。

6.別鍋にEXVオリーブオイルとニンニクを入れて火にかけ、ニンニクが焦げない程度に薄く色づくまで熱したら、5.の鍋に加える。

7.味を見て塩加減を調整し、できあがり。盛りつけ時に軽く胡椒(材料外)を振る。

鳥の脂とヴィネガーが絶妙の味わいを演出 ホロホロ鳥のカルピオーネ

ホロホロ鳥からの脂とビネガーの酸味のバランスが旨さの決め手。脂の出る皮は外さず調理する。鶏でも作れるが、旨味がやや弱いのでビネガーを調節しバターを少し加えよう。
ホロホロ鳥からの脂とビネガーの酸味のバランスが旨さの決め手。脂の出る皮は外さず調理する。鶏でも作れるが、旨味がやや弱いのでビネガーを調節しバターを少し加えよう。

材料(4人分)

・ホロホロ鳥……一羽
 (鶏の胸とモモで1羽分でも可)
・セロリ(茎)……1本
・玉ねぎ……中1/2個
・人参……1/2本
・EXVオリーブオイル……大さじ3、大さじ2
・ニンニク……6片
・白ワインビネガー……200ml
・水(ミネラルウォーター)……300ml
・塩……適量

作り方

1.ニンニクは縦二つに切り、残りの野菜は1.5cm程度の大きさに切る。

2.直径24cm程度の鍋にEXVオリーブオイル大さじ3を加え、1.の野菜を強火で炒める。ジャーッと音が立ち始めたら中火にして炒め続け、野菜が透明になってきたら焦げないように火を加減する。野菜の水分が抜けたら、水を加える。

3.ホロホロ鳥を捌く。最初にモモ、手羽、胸肉を外し、モモは2等分、残りの部位は関節で切るなどし、大きめのひと口大にカットする(1羽で20片くらいになる)。

4.内臓、血合いをきれいに水洗いし、各肉片に強めに塩を振る。羽根が残っている場合はきれいに抜いておく。

5.フライパンにEXVオリーブオイル大さじ2を熱し、4.の肉を皮目から焼く。薄いきつね色の焼き色が付いたら裏返して両面を焼き(入らない時は2度に分けて焼く)、2.の鍋に移す。

6.フライパンに残った余分な油を捨て、白ワインビネガーの半量を注ぎ、焦げ付いた肉の旨みをこそげ落とし、2.の鍋に入れる。さらに焦げ付きが残っている場合は、ミネラルウォーター(分量外)で再度落とし、2.の鍋に入れる。肉を焼くたびにこの作業を繰り返す。肉をすべて移し終えたとき、鍋いっぱいになるくらいの大きさの鍋が理想的(煮込むうちに、かさが減る)。

7.鍋にフタをして中火で煮込む。15分程経ったら上下の肉を入れ替える。特にドラムスティックの部分は火が入りにくいので下の方に入れておくとよい。

8.30分程経ったら弱火にして、さらに30分程煮込んでできあがり。ひと晩寝かせるといっそう美味しくなる。

たっぷり野菜の旨みは体に染み入る美味しさ ミネストローネ

野菜のやさしい甘さ、旨みが口に広がり、じんわりと体に染み込んでいく。白インゲン豆を加えると、いっそう食べ応えが出る。鶏のブロードは市販のものでもよいが、野菜の味を損なわないよう、薄めにして使うのがポイント。
野菜のやさしい甘さ、旨みが口に広がり、じんわりと体に染み込んでいく。白インゲン豆を加えると、いっそう食べ応えが出る。鶏のブロードは市販のものでもよいが、野菜の味を損なわないよう、薄めにして使うのがポイント。

材料(4人分)

・ジャガイモ(メークイン)……小2
・人参……小1本
・玉ねぎ……小1/2個
・セロリ(茎)……2/3本
・ロマネスコ(カリフラワーまたは
・ブロッコリーでも可)……小1房
・ズッキーニ……1/2本
・モロッコインゲン(インゲン、グリンピースなどでも可)……6本
・プチトマト……10個
・ニンニク……3片
・バジリコ……7~8枚
・鶏のブロード(市販のもので可。
・冷たいもの)……400ml強
・EXVオリーブオイル……大さじ1
・塩……適量
・パルミジャーノ……1つまみ

作り方

1.ニンニクはみじん切り、ジャガイモ(1個)は皮をむき粗みじん切りにする。

2.人参、玉ねぎ、セロリ、ジャガイモ(1個)、ズッキーニは角切り、ロマネスコ、モロッコインゲンはひと口大のぶつ切り、プチトマトは半分に切っておく。

3.鍋にEXVオリーブオイルと1.のニンニクと、粗みじんのジャガイモを入れて中火で炒める。野菜が透き通ってきたら、冷たい鶏のブロード(150ml程度)を加えていったん温度を下げ、人参、玉ねぎ、セロリと塩2つまみを入れ、中弱火のまま煮る。火加減はグラグラ沸かさず、鍋の周りがフツフツとする程度をキープすること。

4.15分ほど煮たら、再度鶏のブロード(150ml程度)を加えて温度を下げてから、2.の角切りのジャガイモと塩2つまみを入れ、さらに煮る。

5.4.のジャガイモが透き通ってきたら、ロマネスコ、ズッキーニ、モロッコインゲンを入れ、残りの鶏のブロードと塩2つまみを加えて煮込む。たまに野菜を沈めながら、あまり激しく混ぜ返さないこと。

6.10~15分ほど煮たら味を見て塩加減を調整し、プチトマトを入れて2~3分煮る。

7.バジリコの葉を手でちぎって入れ、できあがり。盛りつけ時にパルミジャーノを1つまみ、EXVオリーブオイルを1まわし(材料外)をかける。

教えてくれた人

mescita 鈴木美樹さん

mescita 鈴木美樹さん

ピエモンテ、プーリア、ミラノなどイタリア各地で4年半、さらに帰国後『リストランテアモーレ』で約10年の修業後、東京・目黒に『メッシタ』をオープン。本場そのものの美味しさと空気を提供する鈴木さんの料理のファンは多い。

●SHOP INFO

mescita

店名:mescita

住:東京都目黒区目黒4-12-13
TEL:03-3719-8279
営:16:00~24:00頃
休:日曜休
予算/5,000円~ 個室/なし カード/不可
グラスワイン500円~。メニューは黒板に書かれたもの。週末は予約をするのがベター

(撮影◎貝塚隆 文◎藤咲茂、編集部)