08話【ベジつまみ】長いも×じゃがいものカリカリフリット|ビールと揚げ物の誘惑に休日くらい身を任せてしまえ、という話

働く妙齢男女が直面する「野菜を摂らなきゃ」プレッシャーも何のその。楽しくおいしく、野菜で飲めれば最高! と、酒に合う野菜のおつまみ、通称“ベジつまみ”を提案。外食好き&料理ベタの酒飲み女性ライターが、マクロビ料理家・丸さんの指南を受けつつお届けします。

08話【ベジつまみ】長いも×じゃがいものカリカリフリット|ビールと揚げ物の誘惑に休日くらい身を任せてしまえ、という話

食楽web

 ベジつまみレシピを教わりに、丸さん宅に押しかけた休日。どんなレシピなら食楽Web読者の皆さんに喜んでいただけるか、作りやすくするにはどんな工夫をしようか、なんてマジメに話し合っていたんです、私たち。

「そろそろ、何か揚げ物を提案したいですよね」と私。準備がかんたんに済むように、フライパンでできるといい。そんなことも言った。だって、それが危険な扉だとは思わなかったのだ。

「いいですね、フライパンの揚げ物。じゃあ試作してみます」

 東京の郊外にある丸さん宅の窓からは、気持ちの良い緑が見える。天気もよく、午後早めの太陽がぬくぬくと部屋に差し込んで、気分がいいことこのうえない。揚げ物特有のパチパチという音が聞こえてからすぐ、リビングまで芳ばしい香りが漂ってきた。お腹がぐう、と鳴る。そうだ、今日は朝ごはん食べてこなかった。

「はい、どうぞ」と出されたのは、パン粉をまとったボリューミーなフリット。衣に散りばめられた緑は青のりだ。今すぐかぶりつきたい! と叫ぶ心の獣と戦いながらカメラを覗く。カリっと揚がった見た目がもう魅力的。ついつい何枚もシャッターを切る。

 無事に写真が撮れたことを確認するやいなや、早速ぱくり。おいものホクホク感がしっかり楽しめる、ふつうのフライドポテトよりも肉厚な仕上げ。それなのにカリッと揚がったパン粉のせいか、ザクザクと軽快に食べられる。「青のりの風味があると、塩をそんなにかけなくてもいいですよね」と丸さん。たしかに塩気はほんのりでも、磯の香りがちょうどいい具合にいもの甘みを引き立てる。これはビールに合うこと間違いない。

 試食、という名目を掲げながら、ふたりでビールを飲みのみフリットをぱくぱく。05話に登場した豆乳マヨネーズをつけると、さっぱり感が加わるのも最高。また、クリーミーな長いもとホクホクのじゃがいも、食べるまでどちらか分からないところが楽しくてよいんですよ。

 これ以上飲んだらキリがないぞ、と理性がささやく。しかし揚げ物×ビールの破壊力には逆らえない。

「休みの日に昼から飲むビールは最高ですね」
「ほんとに」
 増えてゆくビールの空き缶を横目に見ながら、二人ともフォークが止まらないのであった。

材料(2人分)

・長いも……10cm程度
・じゃがいも……中1個
・パン粉……30~50g
・小麦粉……大さじ5
・水……70cc
・青のり……大さじ2
・揚げ油……500~700cc ※フライパンのサイズに応じて
・塩……少々
(以下、お好みで)
・豆乳マヨネーズ……適量 ※レシピは第5話を参照ください

作り方

1.長いも、じゃがいもの皮をむき、それぞれ拍子木切りにする。

2.ボウルに小麦粉、青のり、水を入れて泡立て器でかき混ぜる。生地が滑らかになったら【1】を入れ、しっかりと絡むように混ぜる。

3.バットや平皿にパン粉を広げ、【2】を入れてしっかり衣をつける。

4.深めのフライパンに揚げ油を入れ、180℃を目安に熱する。衣を少し入れてみて、底から3分の1くらいまで上がってきたら適温。【2】を入れ、小麦色になるまで揚げる。目安は2~3分。油の温度が下がらないよう、一度にたくさん入れすぎないのがコツ。

5.油をしっかり切ってから器に盛り、好みの量の塩を振って完成。

●プロフィール

料理監修/丸さん こと 丸山翔

埼玉県出身、東京在住。鉄板焼き料理人、マクロビオテックセラピスト。スケートボードライダーを経て料理修業を開始。自身の店を開店後、現在は野菜や自然食を得意とする半農料理人として出張居酒屋などのイベントも開催。トランスセクシャルとしてLGBTのサポート活動も行う。
HP: http://okonomimaru-sk8.wixsite.com/marusuke-kitchen

写真・文/木内アキ

北海道出身、東京在住。”オンナが楽しく暮らすこと”をテーマに、雑紙や書籍、ウェブなどで人・旅・暮らしにフォーカスした文章を執筆。好きなつまみは氷頭。目標は「きちんとした自由人」。執筆活動の傍ら、夫と共に少数民族の手仕事雑貨を扱うアトリエショップ『ノマディックラフト』を運営中。
HP: http://take-root.jp/