シドニーの超人気イタリアンが5月に上陸。開店前にジャパン・エグゼクティブシェフに直撃!その魅力とは?

シドニーの超人気イタリアンが5月に上陸。|開店前にシェフに直撃!その魅力とは?

食楽web

 2001年、シドニーのポッツポイントにオープンして以来、いつも満席のイタリアンダイニング「Fratelli Paradiso(フラテリパラディソ)」。2016年にはオーストラリアの有名なアワード「AUSTRALIA’S TOP100 RESTAURANT」で25位の受賞を果たし、今や超がつくほどの人気店となった。その店が、5月8日、東京・青山の表参道ヒルズ3Fにオープンする。

 シドニーといえば、今や、ハイセンスなカフェやレストランが並ぶトレンドタウンだが、その先駆けとなったのが、実はこの「フラテリパラディソ」。しかし、行ったことのない人にはその凄さは伝わりにくいし、そもそも「シドニーイタリアンってどんな感じ?」「意識高い系の店?」などと、疑問がわく。そんな「?」を明らかにすべく、シドニー本店で2006年から9年間ヘッドシェフを務め、さらに今回、日本店のエグゼクティブシェフに就任した中安俊之さんに話を聞いた。

シドニーの超人気イタリアンが5月に上陸。|開店前にジャパン・エグゼクティブシェフに直撃!その魅力とは?

左からフラテリパラディソジャパン中安エグゼクティブシェフ、Enrico Paradiso、Giovanni Paradiso、Marco Ambrosino

中安さんが入った時の当時の本店はどんな感じでしたか?

「今ほどおしゃれではなかったシドニーでしたが、すでにフラテリパラディソは人気店でした。当時、ポッツポイント周辺には、朝から晩までやっている店はほとんどありませんでしたから、オールデイ・ダイニングを打ち出したフラテリはみんなの集まる場所という感じでしたね」

なぜシドニーでイタリアンが流行ったのでしょう?

「店を創ったパラディソ兄弟とマルコの3人は、イタリア系オーストラリア人で、彼らの父親というのが1950年代にオーストラリアに入植し、メルボルンにイタリア人街を作った人たちです。ですから彼らは幼い頃からイタリアのコミュニティを持っているし、イタリアを頻繁に行き来し、その伝統的な食文化を外側から見てよく知っている。だからシドニーにイタリアのバールのような、誰もが気軽に、いつでも楽しめる店を作った。なおかつ、食材の美味しさをシンプルに味わうイタリア料理の伝統を伝えました。当時、レストランを楽しむという意識が希薄だったシドニーにとっては新鮮な店だったのでしょう」

シドニーの超人気イタリアンが5月に上陸。|開店前にシェフに直撃!その魅力とは?

フラテリパラディソの料理とは?

「一言でいえば、シドニーの良い素材で作るシンプルな料理です。これはイタリアでも日本でも同じことなのですが、料理は良い食材ありきで、それを十分に生かすために技法が生まれます。オーストラリアは食料自給率200%以上の国で食材は豊富ですから、僕らは様々な生産者の方々と素材について話しをして、良いものを探し、時には一緒に作りました。パスタスカンピやプロシュット&モッツァレラ、タリアータ・コントルノ、鴨と野菜を煮込んだラグーソースなど、本当にシンプルな料理ですが、フラテリを代表する人気メニューです」

シドニーの超人気イタリアンが5月に上陸。|開店前にシェフに直撃!その魅力とは?

・プロシュート&モッツアレラ
12か月熟成させたフレッシュなノルチヤ産プロシュート。

シドニーの超人気イタリアンが5月に上陸。|開店前にシェフに直撃!その魅力とは?

・タリアータ&コントルノ
3週間丁寧にドライエイジングしたオージー産の燻製のような香りがするお肉。

ナチュラルワインなどオーガニックにこだわっている?

「フラテリはナチュラルワインを広めたと言われていますが、これは意図的ではなく、いいワイン、美味しいワインについて生産者さんと話したらどんどんナチュラルワインが増えていっただけなんです。料理も同じで、美味しい野菜やハムやチーズなどを探し、また作るところから携わっていったら、伝統的な製法のオーガニックや有機などの素材が多くなった。つまり、結果的に体に良い素材が集まったということ。これはこだわるというより、ごく自然なことです」

今のシドニーと日本の食事情の違いは?

「ここ数年、ヨーロッパの不景気も手伝って、スーパーシェフや良い腕を持ったシェフがシドニーに流れ、格段にレストランのレベルがあがりました。また、お客さん側もレストラン使い方が非常に旨くなり、今、世界を見回しても、シドニーの食文化はかなりクオリティが高いと思います。このクオリティの意味はクレストランを楽しむことができるという意味のクオリティの高さです。一方、日本は美味しい店が多いと思いますが、レストランを楽しむというクオリティに関してはまだまだ、シドニーの方が上だと思いますね」

日本のフラテリはどんな店にしたい?

「僕はテクニカルな料理を出したいわけではなく、日本に根付いていないレストランを楽しむ文化を発信したい。そして、もう1つは、素材を考え直すことを提案したいと思っています。

 今、日本人は、美味しさを表現するときに『甘い』という言葉を使いますが、使いすぎた影響で、野菜を甘く作ろうという発想が浸透してしまっている。また、とにかくオーガニックや国産和牛がいいという発想も、どこかファッション的です。そういう点から、伝統的な日本の食文化や日本人の味覚が変な方向に行ってしまうのはとても怖いことです。僕は、それをやり直したいと思っているんです」

 中安さんは、2年前に帰国後、岐阜県・飛騨高山の生産者のそばで畑のデザインに携わったり、素材作りから話し合ったりしている。そして、青山のフラテリという場所から、本当のレストランの楽しみ方、食の楽しみ方を発信する。5月、日本でグランドオープンする「フラテリパラディソ」で、甘いだけではない食材の様々な美味しさをぜひ楽しみたい。

●SHOP INFO

Fratelli Paradiso(フラテリパラディソ)

店名:FRATELLI PARADISO(フラテリパラディソ)
  ※5月8日オープン予定

住:東京都渋谷区神宮前4-12-10表参道ヒルズ3F
営:月~土11:00~23:00 (Food LO:22:00、barfood Drink LO22:30)、日11:00~22:30 (Food LO:21:30、barfood Drink LO22:00)
http://fratelliparadiso.im-transit.co.jp