“街の食堂”を目指す気鋭のフレンチレストラン「merle」〈前編〉【房総food記11】

千葉在住ライターが、東京の友人に自慢したい、“ピーナッツだけじゃない”県内のおいしいものを気ままに紹介。房総を拠点にした「食」にまつわるあらゆるものを見つめた、飲んで・食べて・知る千葉の風土&food記です。

房総の旬と出会う、「merle」の季節のおまかせコース

(千葉県大網白里市)

“街の食堂”を目指す気鋭のフレンチレストラン「merle」〈前編〉【房総food記11】
「季節のおまかせコース・さえずり」3,600円から、一つ目の前菜(冷製)の「茄子と燻製をかけた秋刀魚のテリーヌ仕立て」。オレンジのヴィネグレットソースが軽やかな味わいにまとめている。秋らしく菊の花弁を添えて。 | 食楽web

 「ふらりと寄れる気軽さ」「目利きのワイン」「旬の料理」が同居している、気の利いた店──。都内ではよく見かけるそうしたコンセプトの店も、東京から電車で1時間以上離れた県内の住宅地にはまだまだ少ないのが現実。しかし、2016年8月にオープンした外房・大網の洋食&フレンチレストラン「merle」は、それらの願いをきっちり満たしてくれる、期待の新星です。

 こちらの真骨頂が、旬の食材を活かした季節のおまかせコース。ランチタイムでも注文可能な上、前菜2品・メイン1品・デザート・コーヒー付きで3,600円と破格です。取材時(10月中旬)は、まさに秋たけなわといったメニュー構成でした。

 まずは冷製の前菜からスタート。「茄子と燻製をかけた秋刀魚のテリーヌ仕立て」は、刺身でもおいしい鮮度抜群の秋刀魚にゆっくり火を通すことで、質感はそのままに香りを纏わせる「瞬間燻製」を施した逸品。秋刀魚の脂と、とろっと熟した茄子の甘みが好相性で、導入にふさわしい一皿です。

 続いては、温製の前菜「カボチャの焼きニョッキ、グラナ・パダーノのチーズクリームソース」。しっかり焼き色がついたカボチャのニョッキは、みたらし団子を思わせる味わいと弾力。もちもちした甘さと、ほんのり塩気の効いたチーズクリームソースとの“甘辛ループ”がたまりません。

 お待ちかねのメインディッシュは、「鴨のロースト、カシスのソース・栗のピュレ」。フォワグラをとった後の胸肉(マグレ・ド・カナール)は脂が綺麗な味わいで、酸味のあるカシスのソースと、繊細なケーキのような栗のピュレが絡み、これだけで赤ワインが何杯でもいけてしまいます。

 その後の、カンパリオレンジのアングレーズソースと金木犀のブランデーを使った締めのデザート「マンゴーのパルフェグラッセ、金木犀の香り」に至るまで、シェフの硬軟自在なソース使いを堪能できます。

 これら粒揃いの料理を繰り出すのが、オーナーの山中学シェフ、33歳。そして、絶妙なお酒のセレクトとサービスでアシストするのが、奥様の亜美(つぐみ)さんです。ともにソムリエ資格を持ち、都内をはじめ様々な実力派店で経験を積んだ二人ですが、店の雰囲気はあくまでもカジュアルで朗らか。ランチには気軽に注文できる洋食メニュー(ハンバーグ、ポークカレー、オムライスなど)もあり、肩肘張らないスタイルが魅力です。

「フレンチレストランというより、町の食堂を目標にしています。かしこまって食べる店ではなく、誰でも気軽に入れて、おいしいものを楽しんでもらえる場でありたいなって」。
看板に掲げた「洋食とフレンチ」の文字が、その思いを代弁しています。

二つ目の前菜(温製)の「カボチャの焼きニョッキ、グラナ・パダーノのチーズクリームソース」。チーズソースの塩気と、かぼちゃの甘みが生み出す“甘じょっぱさ”が魅力の一皿。
二つ目の前菜(温製)の「カボチャの焼きニョッキ、グラナ・パダーノのチーズクリームソース」。チーズソースの塩気と、かぼちゃの甘みが生み出す“甘じょっぱさ”が魅力の一皿。
本日のメインディッシュ「鴨のロースト、カシスのソース・栗のピュレ」。ハンガリー産鴨肉は実にジューシー。付け合わせはどれも火入れ加減が抜群の、蓮根のコンフィ・舞茸のソテー・栗の実添えと秋づくし。
本日のメインディッシュ「鴨のロースト、カシスのソース・栗のピュレ」。ハンガリー産鴨肉は実にジューシー。付け合わせはどれも火入れ加減が抜群の、蓮根のコンフィ・舞茸のソテー・栗の実と、秋づくし。
締めのデザートは「マンゴーのパルフェグラッセ、金木犀の香り」。マンゴーの濃厚なアイスクリームと金木犀の甘い香りがたまらない。散りばめられた金木犀の花弁も美しい。さらに食後のコーヒーは、大多喜の人気自家焙煎珈琲店「抱(HUG)」によるオリジナルブレンドと、最後まで秀逸!
締めのデザートは「マンゴーのパルフェグラッセ、金木犀の香り」。マンゴーの濃厚なアイスクリームと金木犀の甘い香りがたまらない。散りばめられた金木犀の花弁も美しい。さらに食後のコーヒーは、大多喜の人気自家焙煎珈琲店「抱(HUG)」によるオリジナルブレンドと、最後まで秀逸!
亜美さんセレクトのワインは、国産・海外産問わず料理に合うものが中心。右から順に、山中シェフの修業先の一つである山梨の老舗ワイナリー「ルミエール」のスパークリング甲州(白)、同じく山梨の「ドメーヌ・オヤマダBOW!ルージュ」(赤)と続き、左端の「マルセル ラピエール モルゴン」(赤)まで、ワイン好きがうなる錚々たる品揃え。中でも、「マルセル ラピエール モルゴン」は、“自然派ワインの父”と呼ばれたマルセル・ラピエールが亡くなる前に手がけた最後の年のもので、貴重な一本だ。スパークリング(グラス)800円~、白ワイン・赤ワイン(グラス)700円~。
亜美さんセレクトのワインは、国産・海外産問わず料理に合うものが中心。右から順に、山中シェフの修業先の一つである山梨の老舗ワイナリー「ルミエール」のスパークリング甲州(白)、同じく山梨の「ドメーヌ・オヤマダBOW!ルージュ」(赤)と続き、左端の「マルセル ラピエール モルゴン」(赤)まで、ワイン好きがうなる錚々たる品揃え。中でも、「マルセル ラピエール モルゴン」は、“自然派ワインの父”と呼ばれたマルセル・ラピエールが亡くなる前に手がけた最後の年のもので、貴重な一本だ。スパークリング(グラス)800円~、白ワイン・赤ワイン(グラス)700円~。