愛妻の屋久島みやげの酒器で飲めば気分上々、運気も上々。【酒器も肴のうち】

お酒をつぐ器、お酒を飲む器。酒器に思いを巡らせると、気になってくるあの人のお気に入りやコレクション、あのお店のセレクション。酒器を愛でて一献傾けるのが好きなライターによる酒器折々、酒器こもごも。

愛妻の屋久島みやげの酒器で飲めば気分上々、運気も上々。【酒器も肴のうち】
食楽web

 もう随分前になるが、「パワースポット」と聞かれれば合言葉よろしく「屋久島」と返していた頃があり、当時もれなく何人かの友人が屋久島を訪れていた。数年前なら、出雲大社か伊勢神宮だろうか、いや、今も? そもそもパワースポットにブームがあるのか否か。

 我が家の近所にもパワースポットと呼ばれている神社があり、日によっては富士山が拝める。かくれんぼ好きで姿を見せないこともあるが、参拝時に富士山が見えるとよりご利益があるような気がする。『酒器も肴のうち』第19献は、国内屈指のパワースポット屋久島にちなんだ話。

 木目のきれいな屋久杉のぐい飲みを見せてくれたのはコミュニティFM制作会社「ATメディアワークス」代表の相沢知宏さん。愛用しているものを粗末に扱う人はいないにしても、とても大事そうに、そして愛おしそうに扱っている。その理由はすぐにわかった。

「妻からの土産です。まだ結婚する前でしたが、彼女が屋久島へ旅行にいっていて、その時にもらったものです。交際して1年経った頃だったかな」。結婚して1年半になるという相沢さん。何年までをそう言うのかわからないが、新婚ホヤホヤの幸せ感が伝わってくる。相沢さんが日本酒好きということで、奥さまはぐい飲みをお土産に選んだのだろうか。

「僕がお酒好きというのは知っていましたが、今思うと日本酒を飲むイメージがどこかにあったんですかね。もともと日本酒はお正月に飲むという印象が強く、おめでたいときのお酒でした。父が“霧筑波”という地元のお酒を愛飲していて、実家暮らしの頃はそれを飲んでいました。今でも好きな銘柄です。いつだったか母方のおじいさんも日本酒好きだったと聞いて、血は争えないなと(笑)。

 ビールやワインも飲みますが、落ち着いて飲みたいなってときは日本酒が多い。例えるなら大人数でワイワイじゃなくて少数でじっくり、しみじみ語り合うような。そう思うと日本酒って特別で贅沢な感じがします」。宴会だろうがしっぽりだろうが、ところ構わず日本酒でいける筆者とはまた別な日本酒賛美。そんなふうにして味わってもらえる日本酒もさぞかし嬉しかろう。

 そして、自宅で日本酒というときには決まってお土産のぐい飲みで一献傾けるというわけか。わかってはいるが、改めて持ってみると木製のぐい飲みは軽い。杉の木目がいきいきとして表情豊か。「お酒を注ぐと木目の美しさが際立ち、お酒そのものもきれいに見えて、なんだかいいお酒を飲んでいる気分になります。木のぬくもりが感じられてやっぱり落ち着きますし、会話も自然と穏やかになっていくような。あとは、落としても割れない(笑)。

 屋久島はパワースポットですし、屋久杉のぐい飲みでお酒を飲んだら仕事もきっとうまくいくかもと言われたような気も」。たとえ言われなかったとしても、十分縁起がよさそうだし、なにより、お酒好きな相沢さんへのお土産に屋久杉のぐい飲みを選んだ奥さまの愛がパワースポット以上。聞くほどに新婚さんのおのろけ風味でフューフューな酒器トーークなのでした。ごちそうさまです。

【酒器FILE 014】 愛用者:相沢知宏(「ATメディアワークス」代表) *口径59mm *高さ27mm *容量60cc *重量12g
【酒器FILE 014】
愛用者:相沢知宏(「ATメディアワークス」代表)
*口径59mm *高さ27mm *容量60cc *重量12g

●INFORMATION

ATメディアワークス

「レインボータウンFM」「かわさきFM」をはじめとするコミュニティFMの制作・コンサルティング業務に携わる。地域密着型の情報番組から、起業・ビジネス系、エンタメ情報まで幅広い分野を扱う。

●撮影協力

MIMOSA GARDEN JIYUGAOKA 外観

MIMOSA GARDEN JIYUGAOKA(ミモザガーデン自由ヶ丘)

ワンランク上の時空間を提供するパーソナルユースのプライベートサロン。主宰の三田村美和さんによる季節のテーブルコーディネイトが愉しめるおもてなし創作料理レッスンが人気。

●著者プロフィール

取材・文/笹森ゆうみ

ライター。蕎麦が好きで蕎麦屋に通っているうちに日本酒に目覚め、同時にそば猪口と酒器の魅力にとりつかれる。お酒、茶道、着物、手仕事、現代アートなど、趣味と暮らしに特化したコンテンツを得意とする。