旨い店はタクシー運転手に訊け!死ぬまで食べたい『伊吹』の中華ソバ

俺流「和え玉ソバ」の楽しみ方を伝授

和え玉

 さらに『伊吹』では、「和え玉」を忘れてはいけません。

 ここで、僕流の「和え玉」の食べ方を紹介しておきましょう。
 まずは、出していただいた中華ソバ(メニューはどれでもOK)を食べ終えます。ここで大事なことは、スープは残しておくこと。そして「和え玉」を追加してください。この「和え玉」は、一般の店の無味の「替え玉」とは違い、三村さん自家製の焼き干し香油や煮干粉で味が調えられており、さらに、玉ねぎ、フレーク状のチキンが乗っています。

 もちろん、残ったスープに普通に和え玉を浸して食べてもいいのですが、僕の場合はスープを少量残しておいて、その汁の残った丼ぶりに和え玉の、まず麺だけを投入します。スープをよく和えたら、残しておいた和え玉の具をのせて、卓上の「イカ酢」で味を調えていただきます。こうすると、貴重なスープを余すことなく完食できるのです。他の方法でも和え玉を楽しめますが、僕はこの食べ方が好きです。

和え玉200円
和え玉200円
オリジナルの「イカ酢」で味を調えて、俺流「濃厚和え玉ソバ」が完成!
オリジナルの「イカ酢」で味を調えて、俺流「濃厚和え玉ソバ」が完成!

 おそらく、夜の「淡麗」も「濃厚」もどっちも捨て難くなると思いますが、『伊吹』はそれだけではありません。

 むしろ昼には看板メニューの「中華ソバ」があります。数種類選び抜いた煮干を、一杯につき130g以上使用し、煮干を潰さずに自然に抽出する手法でつくる創業当時からのメニューです。三村さんは、煮干のエグミや苦味も旨味のひとつとして考えているので苦手な人もいると聞きますが僕にとってはこれがたまらなく美味しいスープです。

 現在、煮干は、九十九里特撰背黒大羽、九十九里背黒大羽、八戸青口、上物伊吹いりこ、境港極上平子、さっぱを使用しています。そういえば、この中華ソバは、全メニューの中で最もつくるのが難しくて、いまだに改良し続けなければならないと三村さんは言っていました。この姿勢も素晴らしいと思います。

 また、日替わりのどんな味が出てくるかわからない「限定」も見逃せないんです。たとえば、「純濁りソバ」や「三段仕込みの淡麗」など、三村さんのアレンジが利いた限定の中華ソバが食べられます。特にニボラー向けの「ハードコア系」は明け番で頭がぼーっとしている昼にドカンとパンチの効いた至極の一杯です。(スープ残し厳禁なので、初めての方は避けてください)

 ちなみに昼は70食、夜は50食が目安。スープがなくなり次第、終了です。

 というわけで、着きました。今日も並んでいますね。ぜひ楽しんできてください。

外観
並び方にもルールがあって、これはお店の前に書いてあるので、このルールを守ることも大事です。

(構成◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:中華ソバ 伊吹

住:東京都板橋区前野町4-58-10 見次パークマンション1F
営:昼の部11:45~14:30、夜の部18:40~20:35
※どちらもスープ終了次第閉店。提供杯数やスープ終了の情報、臨時休業は随時HPに記載されるので、来店の際は事前チェックを。
TEL:080-4928-0013
休:月、第1・第3火+不定休

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。