ハードタイプチーズ「幸」に隠された情熱とは? 【北海道チーズ見聞録】

今、国産チーズのクオリティの高さを牽引しているのは何と言っても北海道に数あるチーズ工房。東京・清澄白河の北海道産ナチュラルチーズ専門店「チーズのこえ」代表・今野徹さんが、北海道の工房を訪ね、チーズの美味しさの秘密に迫ります。

北海道チーズ「幸」に隠された情熱とは? |チーズ工房見聞録
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 今回、訪ねたのは、北海道足寄郡足寄町足寄町・茂喜登牛(もきとうし)にある「しあわせチーズ工房」。看板商品ハードタイプチーズ「幸(さち)」は、この工房を立ち上げた本間幸雄(ほんまさちお)さんの渾身の作である。

「私が北海道のこの小さな町に来ることになったのは、たくさんの人との出会いが重なり、まるで何かに導かれたような気がします」と本間さんは言う。

 

本間さんの出身は長野県である。高校時代に目にした国内のチーズ工房のテレビ番組に魅入られ、学生時代に実習で訪れたのが、北海道新得町にある「共働学舎新得農場」だった。

「共働学舎新得農場」といえば、いまでは、日本のチーズを牽引する工房であることは周知であり、本間さんにとって、その代表の宮嶋望さんとの出会いも運命であったが、さらに、このときに出会った山田圭介さん(現在「山田農場チーズ工房(七飯町)」設立)との出会いが、チーズづくりに対する考え方に大きな影響を与えたという。

「山田さんは、チーズを楽しそうにつくり、そしてチーズのことを楽しそうに語っていたんです」

 もちろん、山田さんだけではない、共働学舎でチーズをつくる、チーズを学ぶために全国からやってきた人は、どん欲に「より美味しいチーズをつくりたい」という思いに満ち溢れていた。本間さんも、その思いに惹きこまれていった。

「しあわせチーズ工房」の半地下にある熟成庫にて本間さん。
「しあわせチーズ工房」の半地下にある熟成庫にて本間さん。「夏涼しく、冬は凍てつく寒さからチーズを守ってくれるんです」