漁師町・浦安の“ロックな魚屋”、見参!<後編>【房総food記】

千葉在住ライターが、東京の友人に自慢したい、“ピーナッツだけじゃない”県内のおいしいものを気ままに紹介。房総を拠点にした「食」にまつわるあらゆるものを見つめた、飲んで・食べて・知る千葉の風土&food記です。

旧漁村に鮮魚店を復活させた、
浦安魚屋三代目の挑戦。

(千葉県浦安市)

漁師町・浦安の“ロックな魚屋”、見参!<後編>【房総food記】
店主・森田さんと妻・典子さんは、ともに浦安っ子で小学校の同級生。三人いるお子さんもそれぞれ魚好きに育った。学校帰りの娘さんが店を手伝う姿もあり、家族経営のあたたかい雰囲気も魅力の一つだ。 | 食楽web

 <前編>に引き続き、浦安「鮮魚 泉銀」を紹介。今回は、6月にオープンしたばかりの2号店「鮮魚 泉銀 堀江店」を訪ねます。

 店のある堀江地区は、市内を流れる旧江戸川の分流・境川に沿って発展した地域で、かつては近隣の猫実(ねこざね)・当代島(とうだいじま)と並んで栄えた旧漁村。浦安の埋立てが始まる前から存在する“元町地域”の一つであり、旧家と新興住宅街が混在する歴史ある土地でもあります。

「俺たちの小さい頃は、街に魚屋がいっぱいあった」と語るのは、浦安出身の店主・森田釣竿さん。しかし、大型スーパーの登場などで近年その数は激減。漁師町・浦安の魚食文化衰退の危機を感じた森田さんは、祖父の代から続く浦安魚市場店の営業の傍ら、旧漁村である堀江に2号店を開くことを決意します。

 目下の目標は、「気軽に夕飯の相談をしてもらえる店になること」。そのため堀江店では、魚市場店とは違って珍しい魚は控えめに、日常的に食べられる鮮魚や貝類がメイン。

 また、妻・典子さんが手作りする煮付けや熱々のフライといったお惣菜、地元の老舗佃煮店「西敏商店」の商品、懇意にしている県内の農家から仕入れたお米なども取り揃え、魚をおいしく食べるための“食のセレクトショップ”的な側面も打ち出しています。

「最初から整えられたお刺身セットを買うのもいいけど、若いお客さんに魚屋での買い物の仕方に慣れてもらって、どんどんおいしい魚に出会ってほしいのよ。煮付けにオススメの魚はあるかとか、この貝をお造りにしてとか、どんどんリクエストしてもらいたいね」