古典スイーツの銘品「小川軒」のシュークリーム【モノ好きの食卓08】

CLASKA Gallery&Shop DOのディレクターであり、日用品からアンティークまで大の買い物好きで知られる大熊健郎さん。そんな“モノ好き”人間のお眼鏡にかなった、食にまつわるモノとコトを紹介します。


古典スイーツの銘品「小川軒」のシュークリーム【モノ好きの食卓08】
食楽web

 春の健康診断の結果が出るたびに憂鬱な気分になるのが中性脂肪とコレステロール値。昨年ついに「要治療」の烙印を押される事態へと至ってしまった。原因は自分でもよくわかっている。アルコールこそあまり口にしないものの、炭水化物に肉類、そして何より甘いものに目がないのである。とはいえこればっかりは医者に止めろといわれても止める気はない。これを意思が強いというのか弱いというのか自分でもよくわからないのだが…。

 甘いものなら和洋問わずオールラウンドプレイヤーなのだが、中でも特に好きなのがカスタード系のお菓子、とりわけカスタードクリームたっぷりのシュークリームには目がございません。これまで様々なシュークリームを食べてきたが、最近特に気に入っているのが「小川軒」(正式には「巴里 小川軒」)のシュークリーム。

 小川軒といえばご存じの方も多いと思うが、あの「元祖レイズン・ウィッチ」でおなじみの老舗である。ただ、お土産に買うレイズン・ウィッチにばかり目が行って、その他の生菓子や焼き菓子をスルーしてしまっていた方も多いのではないかと察する。

 実はかくいう私もその一人。というのも小川軒の目黒店は私の勤務先からわずか100mの距離にありながら、知人にそのお菓子の美味しさを教えられる最近までお店に足を踏み入れたことがなかったのだ。なんという損失! それを取り返すかのごとく、近頃はせっせと通っては小川軒の生菓子の美味しさを堪能するようになった。

 さてそのシュークリームである。シュー生地はフランスの本場もの的な固くてサクサク系(あれはあれで大好き!)とも日本のシュークリームにありがちなフニャフニャ系(これもこれで嫌いじゃない)でもない。上質なフレッシュバターをふんだんに使って焼き上げられた、ほどよい固さと香ばしさが絶妙のシュー生地である。その生地に濃厚な甘さのカスタードが隙間なく、惜しげもなく注入されている。これを最初に口に入れたときの幸福感たるや……嗚呼なんというしあわせ。

 なんともクラシックで上品な佇まいも◎。有名パティシエの店が巷を席巻する中、日本の老舗洋菓子店の底力を感じるシュークリームである。

古典スイーツの銘品「小川軒」のシュークリーム【モノ好きの食卓08】
1個300円(税別)で味わえる口福デザートに首ったけ

●著者プロフィール

古典スイーツの銘品「小川軒」のシュークリーム【モノ好きの食卓08】

大熊健郎

CLASKA Gallery&Shop DOディレクター。1969年東京生まれ。インテリア会社、編集プロダクション勤務を経て2008年CLASKAのリニューアルを手掛ける。同時に立ち上げたライフスタイルショップ、CLASKA Gallery&Shop DOのディレクターとして、バイイングから企画運営全般を手がけている。
http://do.claska.com/