丼作りは「親子鍋」でランクアップすべし【ザ・キッチン道具マスター08】

かしこい道具さえあれば、腕はなくともおのずと料理のレベルはアップする。道具で楽しむ・道具でラクする料理エディター、Amiyumiの “道楽料理”。

丼作りは「親子鍋」でランクアップすべし

食楽web

 丼の鍋といえば、「親子鍋」だ。そう、蕎麦店などでよく見かける、長い持ち手が縦についているヤツ。一見ヘンテコな形だが、これが、一人分の丼のアタマ(具)を作るためだけに設計された究極のフォルムなのである。あるとないとでは、丼モノのクオリティが段違いに変わる。

 たとえば、いつもの26cmフライパンで親子丼のアタマを作るとしよう。あれよあれよとたまごが広がり、フライ返しでかき集めているうちに、ぐちゃぐちゃの具になってしまうだろう。じゃあ、小ぶりの鍋ならどうだ。調理についてはまだマシであるが、丼に具をかけるときにアクシデントが起きるだろう。鍋に深さがあるため、ダイレクトにかけられない。そこで、おたまですくうという手間が発生する。あれ、おたまがない! どこー? なんて探していたらもうアウト。たまごはどんどん固まってしまう。

 ……親子鍋の場合は、前述したように、丼のための究極の鍋であるから、このような余計な作業は発生しない。そのぶん調理に集中できるので、当然、味もよくなるのだ。作り方はかんたんで、具をつゆで茹で、溶いたたまごを加えてふたをし、完成したら持ち手をつかんで、具を丼にスライドさせるだけ。実にスピーディだ。持ち手をぐいっと握り、鍋を小刻みに揺らしながら、具をのせるしぐさも実にかっこよいではないか。……ん? これがやりたかっただけじゃないのかって。

スピーディで美味しい「かまぼこたま丼」のレシピ

スピーディで美味しい「かまぼこたま丼」のレシピ

鶏肉の代わりにかまぼこ、三つ葉の代わりに水菜を使った、「かまぼこたま丼」は、あっさりとしたやさしい味わい。飲んだ後にもおすすめの一品。

材料(1人分)

たまご……2個
玉ねぎ……1/8個
かまぼこ……約4cm
水菜……半株
麺つゆ(3倍濃縮タイプ)……大さじ2
水……大さじ2
みりん……大さじ1
ごはん……200g

作り方

1.玉ねぎは薄くスライスする。かまぼこは薄くスライスした後、縦に切る。水菜は2cmの長さに切る。たまごは溶いておく。

2.親子鍋に、麺つゆ、水、みりん、スライスした玉ねぎを入れて中火で煮る。かるく煮立ってきたらかまぼこを加え、たまごを半量加えて、菜ばしでかるくかき混ぜてから、ふたをして弱火にする。1分ほどたったら、残りのたまごと水菜を加えてふたをして、さらに1分。(たまごのトロトロ加減はお好みで)

3.ごはんを盛りつけた丼に具をのせる。

親子鍋の材質は、アルミニウム、ステンレス、銅などいろいろ。

親子鍋の材質は、アルミニウム、ステンレス、銅などいろいろ。テフロンなどのノンスティック加工をしたものも便利。価格は1.000円~2.000円といったところ。

●著者プロフィール

写真・文/Amiyumi

東京都出身・多摩地区在住。料理エディター歴20年。手掛けた書籍や雑誌は数知れず。日々翻弄される仕事の合間の休息地として、キッチンとキッチン道具をこよなく愛する。