歌舞伎役者・片岡市蔵がハマった日本酒とは？【私の好きな酒01】

元鮨職人が作るこだわりの日本酒
農口酒造『山廃純米　農口』

　そういうわけで、片岡さんイチオシの日本酒、「農口酒造」に、実際に話を聞いてみることにした。石川県能美市にある「農口酒造」は、約200年続く「山本酒造本店」が平成25年に名称変更し、現在の社長である渡邊忠氏が自ら、独自の製法で造るお酒を提供する酒蔵。

　じつは渡邊氏はつい4年前まで、銀座の鮨職人だった。一人で鮨屋を始め、11軒まで店を広げた凄腕なのだ。「鮨と酒造りは似ていて、素材の目利きと腕で決まる」（渡邉さん）のだそうだ。

　酒造りに関してはまったくの素人だったが、200もの蔵を訪れ、微生物の研究書を読み漁り、最適な米や水を揃えた。あとはひたすら酒造りを繰り返して試し、米を透明になるまで洗うことから、米の蒸し時間、麹をつくる際の室の温度設定まで、独自の方法を編み出した。

　70歳にして、新たな職人への道に進んだ渡邊氏自ら「最高に美味しい酒ができました」と自信満々の「農口」。通販にも対応しているので、その滋味を味わってみては。

●プロフィール

片岡市蔵

昭和33年12月12日生まれ。五代目片岡市蔵の長男。37年4月歌舞伎座『助六由縁江戸桜』の禿（かむろ）で片岡幸一を名のり初舞台。44年11月歌舞伎座『助六由縁江戸桜』の茶屋廻り金太ほかで六代目片岡十蔵を襲名。60年名題昇進。平成15年5月歌舞伎座『実盛物語』の瀬尾十郎ほかで六代目片岡市蔵を襲名。
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