本醸造、純米、大吟醸はどう違う?|今さら聞けない日本酒【第2回】

今さら聞けない日本酒
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 日本酒、楽しんでますか? 米と水で醸されることは知っているけれど、実際、それがどのように作られ、日本酒となっていくのか、知らない人も多いのでは? 麹、酵母、醪、発酵……。確かに難しそうに思える日本酒用語。けれど、その基礎を知っておくだけで、日本酒はもっと身近に、もっと楽しく、美味しいものになることは間違いありません!

 日本酒は、よく本醸造酒や純米酒、大吟醸酒などと分類されるが、これらの違いを明確に答えられる人は多くないのでは? 実は、これらは“特定名称清酒”といって、国税庁が使用原料、製造方法などの違いにより、日本酒を8種類に分類した名称。条件を満たせば、酒造メーカーは、その特定名称を日本酒に表示できるというものである。

 その分類を決める要素は大きく分けて3つある。そのひとつが、使用原料に醸造アルコールが使われているかどうかだ。特定名称酒に“純米”とつくものは、醸造アルコールが添加されない、いわゆる米と米麹、水だけで作られた日本酒のこと。いわゆる、純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒がそれにあたる。

 一方で、本醸造酒、吟醸酒などの特定名称酒には醸造アルコールが添加された日本酒ということになる。なお、醸造アルコールとは、米やサトウキビなどのでんぷん質、糖質の原料を発行させ醸造、蒸留したアルコールのこと。これを醪に添加することで、香りが引き出され、淡麗で軽快な味わいに仕上がるといわれる。

 そして、特定名称を分類するもうひとつの大きな要素となるのが米だ。特定名称酒を名乗れる日本酒は、農産物検査法で3等以上に格付けされた玄米、もしくはそれに相当する玄米を精米したものとされ、白米の重量に対する麹米の使用割合も15%以上と定められている。そのうえで、精米歩合によって、本醸造酒、吟醸酒、大吟醸などに分類されるのである。その他にも特定名称酒の分類には、香味などの要件も定められている。

 ところが、最近では、あえて特定名称酒を名乗らない日本酒も増えてきた。そこには、「大吟醸酒なら、スッキリとしてフルーティー」というように、消費者が固定概念にとらわれることなく日本酒を味わってほしいなどの蔵元の思いがある。

 ところで、これら特定名称酒に区分されない日本酒を普通酒と呼ぶ。1992年に級別制度が完全に撤廃されるまで呼ばれていた「1級酒」「2級酒」などの多くはこの普通種に当てはまる。


今さら聞けない日本酒

(撮影◎貝塚隆 取材・文◎大西健俊)

●プロフィール

監修/栗原信利

東京農業大学農学部醸造学科卒業後、兵庫県の酒蔵で蔵人として働き、町田市に本店を持つ「さかや栗原」の店主に。全国小売酒販青年協議会会長、International SAKE Challenge日本人審査員も務める。町田駅近くに新店舗を準備中。